「終りの時」に対する「永遠の福音」
「わたしは,もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者,すなわち,あらゆる国民,部族,国語,民族に宣べ伝えるために,永遠の福音をたずさえてき(た)」― 黙示 14:6,新口。
1 現代の人にとって空を飛ぶのはめずらしい事ではありませんが,何を見ることは大きな驚きですか。そして私たちは疑いなく何をしたいと思いますか。
今日では100人あるいはそれ以上の乗客を乗せた飛行機が非常な速さで空を飛ぶのを見ても,あるいはカプセルに人間を乗せたロケットが大気圏外に打ち出されてのち地上に戻ったのを見ても,驚く人はいません。しかし空を見あげて天使を見たならば,そして飛行機やグライダーに乗らず,動力のついた翼も持たない天使が鳥の飛ぶ中空を飛びながら伝える音信を聞くならば,驚きに打たれるのではありませんか。私たちは耳をそばだて,この天使がメガホンや電気の拡声装置を使わずに伝えている音信に耳を傾けませんか。きっとそうするでしょう。
2,3 およそ2000年前,一人の天使はどんな驚くべき音信を告げましたか。
2 天使が音信を伝えると言えば,中東にある宗教的に有名な土地で約2000年前に起きた出来事を思い起します。ある秋の夜,ダビデ王の生れた小さな町ベツレヘムの近くの野原で羊飼たちが羊の群れを見張っていました。この羊飼は,もともと天使と関係のあった歴史を持つ国の人々です。突然に明るい光が羊飼たちのまわりを照らしたかと思うと,栄光に包まれた一人の天使がかたわらに立ちました。羊飼は敬虔な人でしたが,それでも恐れを抱きました。天使は次のように告げました。
3 「恐れるな。見よ,すべての民に与えられる大きな喜びを,あなたがたに伝える。きょうダビデの町に,あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。あなたがたは,幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが,あなたがたに与えられるしるしである」。
4 人間のほかにだれがこの音信に喜びましたか。
4 これは地上の「すべての民」にとって喜びとなるだけでなく,天にとっても喜びとなる出来事でした。次に起きたことを見てごらんなさい。「するとたちまち,おびただしい天の軍勢が現れ,御使と一緒になって神をさんびして言った,『いと高きところでは,神に栄光があるように,地の上では,み心にかなうの人々に平和があるように』」― ルカ 2:8-14,新口。ゼカリヤ 1:7-9。
5,6 むかし天使の現われたことは重要な出来事でしたが,私たちの時代については何が言えますか。また見えない霊者の力について何が言えますか。
5 これらの羊飼と共にいて天使を見,その声を聞いてベツレヘムに行き,「救主……主なるキリスト」となる幼な子が誕生して飼葉おけに寝かしてあるのを見たならば,すばらしかったであろうに,と思うかも知れません。(ルカ 2:15-20)しかし今日の私たちは天使を見ず,またその声を聞かなくても,天使たちと大きなかかわりを持っているのです。
6 今日,悪鬼が盛んに活動していることは明らかです。世の諸国家が人類史上最大かつ最も破壊的な戦争にむかって進んでいるのも,疑いなく悪鬼の導きによるものです。聖書の最後の本は軍備を持つ諸国家が預言的にハルマゲドンと呼ばれる場所にいやおうなく集められつつある事実を,そのように説明しています。(黙示 16:13-16)聖書の同じ最後の本は,神の天使もまた同時に活動していることを示しています。しかしそれは諸国家をハルマゲドンにかりたてている悪鬼の活動を妨げるためではなく,別の目的のためです。
7,8 (イ)天使が最後に現われたのは何時でしたか。今日,天使はエホバにどのように用いられていますか。(ロ)このような天使の働きがあることを,ヨハネは黙示録の中で,どのように保証していますか。
7 西暦1世紀の末に使徒ヨハネが黙示を与えられて以来,天使が姿を現わすことはなくなりました。それでも最高至上の神の聖なる天使は,「主なるキリスト」の忠実な追随者となって天の御国でキリストと共に不滅の生命を受ける人々のために活発な奉仕をつづけてきました。ヘブル書 1章14節は天使に関してその事を述べています。「御使たちはすべて仕える霊であって,救を受け継ぐべき人々に奉仕するため,つかわされたものではないか」。これらの御使はすべて神のみ子,主キリストに従っています。そしてキリストの追随者のため,過去19世紀のあいだキリストに忠実に仕えてきました。しかし今日,ハルマゲドンで最高潮に達するこの「終りの時」に行なわれると預言されたわざがあります。それでこれらの御使は特別な奉仕の任務を与えられ,人間に見えないさまで奉仕しています。奇跡的な幻の中でヨハネの見た事柄が成就するためには,そうでなければなりません。その幻は黙示録 14章6,7節にしるされています。
8 「わたしは,もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者,すなわち,あらゆる国民,部族,国語,民族に宣べ伝えるために,永遠の福音をたずさえてきて,大声で言った,『神をおそれ,神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを,伏し拝め』」。
中空を飛ぶ第一の御使
9 今日,天使を見ることができなくても,黙示録 14章6,7節の音信がエホバの天使からのものである事はどうしてわかりますか。
9 私たちは,ヨハネが幻の中で飛ぶのを見た天使を実際に見ていません。地上からはもちろん,空を飛ぶ飛行機の窓からも天使を見たことはないのです。またジェット機よりも遙かに高く,地球のまわりを飛んだ宇宙飛行士でさえも,このような天使を見たことはありません。それにもかかわらず,1918年11月に第一次世界大戦が終って1919年に平和条約の締結を見て以来,地上において見聞された出来事を,主キリストの指揮下にある天使または一団の天使以外の者に帰すことはできません。「天と地と海と水の源とを造られた」神に関して,私たちがその時以来,見聞してきたことは,人間たとえばキリスト教国が今なお軽べつしているJ・F・ルサフォードから出たものではありません。
10,11 (イ)私たちの聞いた音信は,イエスの誕生に関して羊飼の聞いた音信よりも,なぜ遙かに大きなニュースですか。(ロ)ヨハネはこの事の真実を黙示録 12章10-12節において,どのように示していますか。
10 では1919年以来,私たちは何を聞いていますか。私たちが間違いなく聞いたもの,それは地に住む人々がかつて聞いたことのない喜びの音信の宣明です。この喜びの音信は,19世紀前,ベツレヘム近くの野原で栄光のうちに羊飼に現われた天使が告げた,「この民,一般に及ぶべき,大なる歓喜の音信」と関係があります。何千年ものあいだ待ち望まれてきた男の子の誕生は良い音信でした。この男の子は,創造主なる神のみ心に従い,すべての悪から人類を救う大いなるわざを行なうからです。(エレミヤ 20:15)ではこの預言された男の子が「主なるキリスト」「救主」となって実際に治める政府すなわち神の国の誕生したことは,はるかに大きな喜びの音信ではありませんか。未来の支配者が人間として生れたとき,天使たちは喜び歌いました。しかし天において神の国が生れ,サタンと悪鬼に対する勝利を得たとき,黙示録 12章10-12節の言葉が成就したのです。ヨハネは次のように述べています。
11 「その時わたしは,大きな声が天でこう言うのを聞いた,『今や,われらの神の救と力と国と,神のキリストの権威とは,現れた。われらの兄弟らを訴える者,夜昼われらの神のみまえで彼らを訴える者は,投げ落された……それゆえ,天とその中に住む者たちよ,大いに喜べ」。
12 どんな時宜を得た質問がここで提出されますか。
12 しかし天におけるこの出来事は,地上で宣べ伝えられずに終るのですか。この出来事ほどには重要でない人間イエスの誕生さえ,天使によって地上で告げられました。では更に大きな出来事すなわちキリストが天において主となり神の国が誕生したことは,同じく威厳をもって告げる価値のある事柄ではありませんか。もしそうでないとすれば,それは理に合わない事であり,また世界的に重要な事柄を扱う神の方法とも一致していません。
13 神の国が1914年に誕生したことを示すどんな証拠がありますか。
13 1914年以来の世界の歴史は,その年に神の国が誕生したという圧倒的な証拠を提出しています。その証拠となる,現実の世界のいろいろな出来事をイエスは預言しました。それはろばに乗って聖都にはいり,エホバの油そそいだ王としてご自分を名乗る二日前,エルサレムを見おろすオリブ山にイエスが坐っていらした時のことです。1919年までに明らかになった証拠を見ても,1914年に「諸国民〔異邦人〕の定められた時」が終り,メシヤによる神の国が天に設立されたこと,その直後に異邦人の諸国の見えない神サタン悪魔が天を追われ,異邦人の諸国の存在する地に落されたことは証明されました。―マタイ 24:1-13。ルカ 21:24,新世。
14 イエスの示したところによれば,イエスの弟子は御国誕生の音信にどう応じますか。
14 イエスは,その忠実な追随者がこの証拠の意味を悟るとき,何をすべきであると申されましたか。秘密結社のするように,それを秘密にしておくことですか。異邦人の諸国家がそれを好まず,反対したり迫害するかも知れないことを恐れて,口をつぐむことですか。そうではありません。この世の国が「終りの時」にはいり,正義の新しい世を治める神の国が天に誕生したことを証明するおもな証拠を預言してのち,イエスはその許に来て尋ねた弟子たちに告げました,「そしてこの御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである」。(マタイ 24:14。ダニエル 12:4,新口)これこそ,今日の地上において告げるべき価値のある知らせすなわち19世紀前イエスが人間として生れたことよりも遙かに大きな出来事となった天の御国の誕生を告げる方法なのです。
15 (イ)イエスは,天使が御国の誕生を宣べ伝えることを意図しましたか。(ロ)御国の誕生を宣明する目的は何ですか。
15 イエスは,御国の誕生を告げる良いたよりの伝道が天使によって行なわれるとは言わず,またその事をほのめかしませんでした。弟子たちに告げられたイエスの預言は,証拠の現われるとき弟子たちのなすべき事を告げた教えです。すべての国民に伝道するように命ぜられているのは弟子たちです。全地を治める主権を持つ新しい政府の誕生を告げるこの伝道のわざは,諸国家の間に政治的な革命をおこすことを意図したものではありません。イエスの追随者は革命論者ではありません。聞く耳を持たない諸国家を天の神が滅ぼす前に,伝道は「すべての民に対してあかしをするために」行なわれます。
16 それでも最重要のこのわざに天使はどんな役割をしますか。
16 地上において実際に語り告げるのは,この20世紀に住むイエスの温和な弟子たちですが,天に住む見えない御使が伝道のわざに密接に協力せず,あるいは監督していないという訳ではありません。世の終りに関する預言の中でイエスは,御国の伝道者を集めるために御使が用いられると述べました。「そして力と大いなる栄光とをもって,人の子が天の雲に乗って来るのを,人々は見るであろう。また,彼は大いなるラッパの音と共に御使たちをつかわして,天のはてからはてに至るまで,四方からその選民を呼び集めるであろう」。最後にイエスは言われました,「人の子が栄光の中にすべての御使たちを従えて来るとき,彼はその栄光の座につくであろう。そして,すべての国民をその前に集めて……彼らをより分け(る)であろう」― マタイ 24:30,31; 25:31,32,新口。マルコ 13:26,27。
17,18 (イ)地上にいる神の僕は,天使のこの助けをどのように感ずべきですか。(ロ)使徒ヨハネがイエスと,勝利を得た14万4000人の弟子たちを見た直後に,中空を飛ぶ天使を見たことにはどんな意義がありますか。
17 支配している王,主キリストの下で天使が全地における伝道のわざを助け,導き,保護し,後押ししていることを保証するこの霊感の言葉は,私たち御国の証者にとって大きな慰めであり励みであり力です。目に見えないさまで天使が伝道のわざに加わっていること,設立された御国の福音を地に住むすべての人に宣べ伝える責任が天使に委ねられていること,これこそヨハネの見た,永遠の福音を携えて中空を飛ぶ天使の幻が象徴する事柄に違いありません。しかも福音を携えて飛ぶ天使と神の御国との関係は,きわめて明らかです。なぜそう言えますか。神の小羊イエス・キリストが,勝利を得た14万4000人の弟子たちと共に,シオンと呼ばれる山に立つのを見てのち,ヨハネは中空を飛ぶ天使を見たからです。イエス・キリストの先祖ダビデ王がエルサレムにおいて「エホバの位」に座したところは,シオンの山でした。―黙示 14:1-6。
18 互に関連のある出来事がこのようにつづいて起きていることは,次の事を意味しているに違いありません。すなわち1914年,小羊イエス・キリストが王の権を執って天にあるシオンの山に立ってのち,メシヤによる御国の「永遠の福音」は,地に住む人々に宣べ伝えられるという事です。地に住む人々は,超人間の政府である天の御国の主権の下に知らずしておかれました。西暦1914年以来の世界の歴史は,その順序でこれらの出来事が起きたことを証明しています。
中空において
19 (イ)天使が中空を飛んでいることはどうして有利ですか。(ロ)その音信はどれほど重要ですか。
19 この天使は中空を飛ぶゆえに,広い地域の人々がその声を聞くことができます。その高さで地球のまわりを飛びながら超人間の声で天使の告げる音信は,広い範囲に聞えるはずです。この天使はあらゆる国民,部族,国語,民族に福音を宣べ伝えるために遣わされました。そのためには地球のまわりを飛ばなければなりません。それは地に住むすべての人が聞くべき福音でした。それは世の政治家の言い出したものではなく,天から与えられたものです。そして地に住むすべての人,男女,子供に影響を与えました。神ご自身の定めによって,それは遠く広く宣べ伝えられなければなりません。それは人類にとって最も重要な音信だからです。それを宣べ伝えることに反対する者や,恐れて口をつぐむ者のために,伝道のわざがやむことはありません。
20 だれにしても,神のこの天使が音信を宣べ伝えるのをとどめようとすることは,なぜ無益ですか。
20 王,裁き人,将軍,祭司,司教,牧師など地上の人間が,福音を携えて飛ぶ天使を妨害しようとするならそうしてごらんなさい。2600年以上の昔,世界強国アッシリアの高慢な王は,シオンすなわちエルサレムから治めた模型的な神の国を覆そうと企てました。ところが列王紀略下 18章13節から19章36節までの記録によると,一晩のうちにエホバの一人の天使が18万5000人の兵士を殺したので,アッシリア王は侵略軍の残りをまとめて自分の国に逃げ帰りました。
21 (イ)良いたよりを語り告げるとき,御国の伝道者はどんな態度をとるべきですか。(ロ)神の僕がこの最重要のわざを敏速に行なうことはなぜ必要ですか。
21 ゆえに御国伝道者は恐れてはなりません。むしろ神から使命を与えられた者として臆することなく,あらゆるところで語り告げるべきです。良いたよりを宣べ伝えるためにヘリコプター,飛行機あるいはロケットに乗り込むのは実際的なことではありません。しかし目につくところに出て恐れずに語ることを,イエスは命じました。「天国が近づいた」ことを伝道するために12使徒を遣わしたとき,イエスは「ヘびのように賢くあれ」とさとすと同時に,人を恐れてはならないといましめました。「だから彼らを恐れるな。おおわれたもので,現れてこないものはなく,隠れているもので,知られてこないものはない。わたしが暗やみであなたがたに話すことを,明るみで言え。耳にささやかれたことを,屋根の上で言いひろめよ」。(マタイ 10:7,16,26,27,新口)屋根の上から叫ぶならば,その声は遠くまで届き,下にいる大ぜいの人に聞こえます。それでイエスの言葉は,音信を遠く広く,またできるだけ早く宣べ広めよという意味です。ヨハネが幻の中で見た天使は中空を飛んでいました。昔ペルシャで「王の御用馬として,そのうまやに育った早馬に乗る急使」が,敵の攻撃に対して正当防衛の権利のあることをユダヤ人に知らせたように,この天使は急いでいるために飛んでいるものと見えます。(エステル 8:10,新口)「終りの時」は比較的短く,これは大ぜいの人の命にかかわることですから,敏速に行動しなければなりません。中空を飛ぶ天使が「大声で」話していることに注目して下さい。天使は音信を聞かせようとしているのです。天使の語ることを伝える私たちが,声を小さくしてはなりません。
22 宣べ伝えるべき場所は狭いものですか。中空を飛ぶ御使にはどんな責任がありますか。
22 「歓喜の音信」を伝えるべき土地は広く,あらゆる国民,部族,国語,民族が含まれています。中空を飛ぶ天使はそのすべてをめぐって,音信を聞くべきすべての人に伝えることになっていました。1919年以来,天使あるいはその象徴する天使の組織は,喜びの音信があらゆるところで伝えられるように図ってきました。
23,24 (イ)宣べ伝えるべき場所は広いゆえに,1919年以来エホバの証者のわざのどんな拡大が必要でしたか。(ロ)1922年当時にくらべて,良い音信を載せた印刷物は今日どの程度まで配布されていますか。それはどこにまで達していますか。
23 これで次の事もうなずけるでしょう。1919年,エホバの証者はものみの塔聖書冊子協会の14の支部の監督下にヨーロッパ,アフリカ,アジア,オーストラリア,海洋の諸島,南北および中央アメリカにおいて御国の音信を小規模に宣べ伝えていました。ところが1963年にはものみの塔協会の90の支部の監督下に,194の国々と島々において伝道が行なわれ,2万2000以上の会衆が組織されています。
24 また「あらゆる国語」の人にこの音信を伝えることに関して言えば,1922年の4月,「いま生存する万民は死ぬことなし」と題する講演が世界のおもな言語33ヵ国語で行なわれましたが,今日,印刷物また話す言葉によって御国の音信を伝えるために,162の言語が使われ,「ものみの塔」だけでもロシヤ語を含む66ヵ国語で毎月発行されています。たしかに「中空を飛ぶ御使」からの良い音信は,つらぬくことのできるソ連の鉄のカーテンの背後においてさえ,何千人のエホバの証者によって伝えられています。共産主義者のロケットも,中空を飛ぶエホバの天使を打ち落すことはみできません。
どんな「福音」?
25 中空を飛ぶ御使の音信はどんな音信ですか。
25 しかし「永遠の福音」を携えて中空を飛ぶ天使の告げる言葉は何ですか。使徒ヨハネは天使が「大声で」次のように言うのを聞きました。「神をおそれ,神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを,伏し拝め」。(黙示 14:7,新口)その訴えは,あらゆる国民,部族,国語,民族の者が神を恐れ,あがめ,崇拝することです。
26 ある国で特定の宗教が支配的であっても,それは問題となりますか。なぜ?
26 ローマカトリック教徒が国民の大部分を占める国,ギリシャ正教を奉ずる国,新教の国があるかと思えば,回教を奉ずる国があり,そのほかヒンヅー教,儒教,仏教をそれぞれ国民大多数の宗教とする国々があります。しかしこの周知の事実を前にしても,中空を飛ぶ天使は別に当惑しません。現在の重大な時期に至るまで,ここにあげた宗教あるいは他の宗教を問わず,どんな宗教をもっていたかは問題ではありません。天使のすすめは,すべての人がひとりの神を崇拝することです。
27 天使の言う神がエホバであることは,どうして間違いなくわかりますか。
27 今日の世界における宗教の情勢は,使徒パウロが次のように書いた時代と異なりません。「神々といわれるものが,あるいは天に,あるいは地にあるとしても,そして多くの神,多くの主があるようではあるが」。(コリント前 8:5,新口)しかし中空を飛ぶ天使が,神を恐れよとすべての人に呼びかけたとき,いずれの神を指していたかは全く明らかです。天使は神の名をあげていませんが,この神がどなたであるかを説明しているため,私たちはこの神を見分けることができます。この神は全世界の裁き主であり,天と地と海と水の源の創造主です。このような裁き主また創造主は唯一であり,私たちはその名を知っています。聖書の冒頭の句に「元始に神天地を創造たまへり」とあり,更に2章4節は「エホバ神地と天を造りたまへる日に天地の創造られたる其由来は是なり」と述べています。また7,8節をごらん下さい。「エホバ神土の塵を似て人を造り生気を其鼻にふきいれたまへり人即ち生霊となりぬエホバ神エデンの東の方に園を設けて其造りし人を其処に置たまへり」。(創世 1:1; 2:4,7,8)このようにして聖書のはじめから,創造主なる神のお名前はエホバであることが明らかに示されていました。
28 ここに言われた裁き主がエホバであることは更にどうしてわかりますか。
28 エホバが全宇宙の裁き主であることについて,3800年以上の昔,ソドム,ゴモラおよび近くの町々が滅びに面した時,中東の族長アブラハムはエホバ神にむかって次のように申し述べています,「なんぢ斯の如く為て義者を悪者と倶に殺すが如きは是あるまじき事なり又義者と悪者を均等するが如きもあるまじき事なり天下を鞫く者は公義を行ふ可にあらずや」。この論議に対して聖書は裁き主の答を告げています,「エホバ言たまひけるは我もしソドムに於て邑の中に五十人の義者をみば其人々のために其処を尽くゆるさん」。アブラハムのとりなしにもかかわらず,天下の裁き主であるエホバはソドムとその周辺の町々に天から火と硫黄を降らせるのを正当なことと見られました。(創世 18:25-33; 19:24-29)使徒ヨハネの時よりも19世紀前に天下の裁き主が執行されたこの裁きを見るとき,ヨハネの見た幻の中で中空を飛ぶ天使が,創造主エホバ神を恐れるようにすべての人々に呼びかけていることは,全人類を益する大きな奉仕ではありませんか。神の裁きの時がきたのであってみれば,天使のこの奉仕は緊急に必要でありましょう。
神を恐れる
29 至上の裁き主エホバを正しく恐れることの意味を説明しなさい。
29 あらゆるところの人,言語の異なる人々が,裁き主であり創造主であるこの神をどのように恐れることができますか。地上の人間が,至上の裁き主また唯一の生ける真の神としてこの神を恐れるとは,どういう事ですか。文字に書かれた神のことばはその事を明らかにしています。仏教の成立する何世紀も前にエルサレムで治めた昔の賢い王ソロモンは,霊感の下に聖書を書いた人の一人であり,また創造主なる神の崇拝者でもあって次のことを書きました。「エホバを畏るるとは悪を憎むことなり,我は傲慢とおごり悪しき道と虚偽の口とを憎む」「エホバを畏るることは智慧の根本なり聖者を知るは聡明なり」「自らみて聡明とする勿れエホバを畏れて悪を離れ」「事の帰する所は,すべて言われた。すなわち,神を恐れ,その命令を守れ。これはすべての人の本分である。神はすべてのわざ,ならびにすべての隠れた事を善悪ともにさばかれるからである」― 箴言 8:13; 9:10; 3:7; 16:6。伝道之書 12:13,14,新口。
30,31 人はどのようにしてエホバを恐れることを正しく学びますか。
30 この古い世において長い歴史を持つ宗教はその知恵を誇るかも知れません。しかしそれは世の知恵以上のものではなく,この世が人間歴史の上で最大の災に遭遇して滅びるとき共に過ぎ去ります。これらの古い宗教は創造主,至上の裁き主であるエホバ神を恐れません。真実の意味で賢くなり,古い世の終りを生き残って正義の新しい世に永遠の生命を得るには,最高至上のエホバ神を恐れなければなりません。エホバを恐れることを知るために,エホバについて学ばねばならず,学ぶための唯一の方法は文字に書かれたエホバのことば聖書を読み,聞き,学ぶことです。そうするとき自ら見て賢いとすることはなくなり,神が全知であることを知るでしょう。また将来に関する神の預言は今まで必ず成就したこと,そしてこれからも必らず成就することを知ります。
31 神のことを学ぶとき,そのお目的を知り,その戒めを知るようになります。この知識を得るとき,悪を離れて神の戒めを守り,神をおそれることができます。賢明に振舞って神の戒めを守るならば,神の裁きの時が来ても決して恐れる必要はありません。その人は神に是認される者と裁かれるからです。
32,33 (イ)エホバを知り,エホバを正く恐れることにはどんな益がありますか。(ロ)この点においてロトはなぜ良い手本ですか。
32 あらゆる創造を理解し,また私たちが生命をもち,理知ある被造物であることの目的を正しく理解するには,創造主であり裁き主であるエホバ神を常に考えに入れなければなりません。「聖者を知るは聡明なり」という事を心に留めて下さい。このように理知的な理解には知恵と神に対する恐れが伴なわねばなりません。その益は永続するものでありましょう。これに関して賢い王ソロモンは次のことを書いています,「エホバを畏るることは人をして生命に至らしめ,かつ恒に飽き足りて災禍に遇はざらしむ」「エホバを畏るることは生命の泉なり,人を死のわなより脱れしむ」「謙遜とエホバを畏るる事との報は富と尊貴と生命となり」― 箴言 19:23; 14:27; 22:4。
33 族長アブラハムのおいがエホバを恐れたことは,生命と救いを得る結果になりました。天使の伝えた神の命令に従ってソドムの町を離れたロトとその娘たちは,天から突然に降りそそいだ火と硫黄によってソドムと周辺の町々が滅びたとき,その滅びを逃れました。ロトがエホバを恐れたことの益に関して,次のように書かれています,「ソドムとゴモラの町々を灰に帰せしめて破滅に処し,不信仰に走ろうとする人々の見せしめとし,ただ,非道の者どもの放縦な行いによってなやまされていた義人ロトだけを救い出された。(この義人は,彼らの間に住み,彼らの不法の行いを日々見聞きして,その正しい心を痛めていたのである。)」「エホバはけいけんな人々を試練からどのように救うかを知っておられる。また不義な者どもを,……切りたつため,さばきの日まで閉じこめておくべきことをよく知っておられる」― ペテロ後 2:6-9,新口と新世。創世 19:15-29。
34 「神のさばきの時がきた」という宣言は,どのように良い音信ですか。
34 「神をおそれ,神に栄光を帰せよ。……造られたかたを,伏し拝め」との命令に従う人々にとって,中空を飛ぶ天使の宣言は「永遠の福音」であり,うれしい知らせ,喜びの音信です。どうしてそうですか。「神のさばきの時がきた」ことを告げる音信が,どうして良い音信なのですか。「神のさばき」は,正義と公正と善に則って物事を正しくすることを意味するからです。「神のさばき」は,唯一の生ける真の神である創造主また至上の裁き主を恐れ,あがめ,崇拝する人々にとって永遠の解放を意味します。すなわち長いあいだ圧迫を加えてきた世の強力な組織からの解放です。「神のさばき」はこのような人々を自由にします。それは圧迫する者を倒し,圧制者の力を打ち砕くからです。それは敵の組織に対するエホバ神の裁きの表明となります。中空を飛ぶ天使が次々に紹介する天使たちは,その事の真実を示しています。第二の天使の告げる言葉に注目して下さい。
福音を携えた第二の天使
35,36 (イ)第二の天使の音信はどんな音信ですか。(ロ)イスラエルの時代に昔のバビロンが倒れたことは,なぜ喜びとなりましたか。
35 「また,ほかの第二の御使が,続いてきて言った,『倒れた,大いなるバビロンは倒れた。その不品行に対する激しい怒りのぶどう酒を,あらゆる国民に飲ませた者」。
36 黙示録 14章8節のこの宣言は,創造主エホバ神を恐れ,あがめ,崇拝する人々にとって何を意味しましたか。25世紀むかし,ユーフラテス河畔にあったバビロンの都は中東の諸国民から非常に恐れられていました。エホバ神の宮のあったエルサレムの都でさえ例外ではなく,その「不品行……のぶどう酒」を飲まされました。バビロンはエルサレムを壊滅させ,エホバの民と称えたその町の人々を遠い敵の領地に連れ去りました。圧制者であった昔のバビロンが倒れたとき,天と地は喜びました。それは敵の地に捕われていたエホバの民の解放が近いことを意味したのです。このような知らせはバビロンの人々にとって悲しみとなっても,創造主なる神を恐れ,崇拝する人々の心を喜ばせるものではありませんでしたか。
37 今日,バビロンの倒れることは何を意味しますか。
37 大いなるバビロンの倒れたことを告げる天使の宣言も同様です。今日エホバ神を恐れ,崇拝する,圧迫された人々にとって,バビロンの崩壊は同じこと ― 解放を意味するに違いありません。これはその人々の神が至上,全能であり,全く真にして義であることを立証します。また神は正義の者を救う裁き主であり,敵の組織の崩壊は神からの裁きであることを証明します。
第三の天使
38,39 第三の天使は何を宣べ伝えていますか。
38 天と地と水の造り主である神を恐れ,あがめ,崇拝しようとしない人々はどうなりますか。「神のさばき」のいっそうの表明に注目しましょう。前述の二人の天使の宣言につづいて何が起きたかを読んで下さい。
39 「ほかの第三の御使が彼らに続いてきて,大声で言った,『おおよそ,獣とその像とを拝み,額や手に刻印を受ける者は,神の怒りの杯に混ぜものなしに盛られた,神の激しい怒りのぶどう酒を飲み,聖なる御使たちと小羊との前で,火と硫黄とで苦しめられる。その苦しみの煙は世々限りなく立ちのぼり,そして,獣とその像とを拝む者,また,だれでもその名の刻印を受けている者は,昼も夜も休みが得られない」― 黙示 14:9-11,新口。
40 今日,人間の組織のほか,動物とその像が崇拝されている証拠をあげなさい。
40 理知あり,言語を持ち,直立して歩む人間よりも,物を言わない動物のほうがまさっているかのように,実際の動物を崇拝する宗教的な人々が世界中に大ぜいいます。動物を国家の象徴にしている大国があります。イギリスは獅子,アメリカはわし,ソ連は熊を使っています。天体や地上の物体あるいはその像を拝む人も数知れず,一定の神に属する者すなわちその崇拝者のしるしを身に帯びる人々もいます。このような人々にとって,人間の作った,獣の性質を持つ組織を偶像化して崇拝し,あるいは獣に似た元の組織にかたどった,いわば従属の組織を崇拝するのは造作のないことです。こうして人々は人間の組織を崇拝して,自分たちの神々を増し加えます。よく調べれば明らかになる通り,このすべての神々は人間の作り出したものであり,宇宙の創造主なる神ではありません。従ってそれは創造主なる唯一の神の崇拝をすすめるよりも,創造主の崇拝から注意を奪うものです。
41 (イ)神がこの偽りの崇拝のすべてを喜ばれると考えるのは理にかなっていますか。(ロ)「獣」の組織はだれから是認されていますか。
41 これら創造物の崇拝者の上に「神のさばきの時」が突然に臨むとき,創造主である裁き主は,間違った崇拝をしている人々が宗教的であり,誠実に崇拝を行なっているという理由でその人々を是認しますか。第三の天使の宣言によればそうではありません。前の章(黙示録 13章1,2節)は,「獣」の組織が龍,サタン悪魔から権威と力を受けていることを示しています。従ってその「像」も,悪魔の是認するものの像また模倣である以上,同じく悪魔のものに違いありません。
42 偽りの崇拝とその崇拝者の最後は何ですか。
42 しかし悪魔が好み,また支援するものを崇拝することは,創造主である神から是認されません。このような崇拝は,中空を飛ぶ天使が大声に叫ぶ命令に背くものです。従ってこのような間違った崇拝は当然に創造主の怒りを受け,造られたものの崇拝者は,「神の怒りの杯に混ぜものなしに盛られた,神の激しい怒りのぶどう酒」を飲まなければなりません。しかも酔いしれて決して目を覚ますことのない眠りに陥るまで,彼らは神の怒りの杯を次々に飲みます。そして天から火と硫黄の降った,アブラハムとロトの時代のソドム,ゴモラおよび周辺の町々のように感ずることでしょう。
43 現代の偽りの崇拝者にそそがれる象徴的な火と硫黄は,明らかに何を意味していますか。エホバの証者の伝える音信に対して,その人々はどんな反応を示しますか。
43 火と硫黄の雨は,ソドムとゴモラの町の人々にとって苦痛にみちた滅びを意味しました。神の怒りの表われとして現代の偽りの崇拝者に象徴的にそそがれる火と硫黄は,造られたものの崇拝から造り主の崇拝に転ずることを拒絶する人々に完全な滅びが臨むことを告げる天からの音信です。滅びの前ぶれが火のように落ちかかるとき,人々は大きな苦痛を感じ,宗教的な感覚を傷つけられます。そしてエホバのクリスチャン証者が伝道し教える事柄に激しい怒りを覚えます。それは聖なる天使と神の小羊イエス・キリストの目の前で受ける苦しみです。イエスも天使もこの苦しみを和げようとはしません。神のさばきの時がきて裁きの行なわれるいま,偽りの崇拝を行なう者がこの苦しみを受けるのは当然だからです。
44,45 (イ)偽りの宗教の受ける苦しみは何時終りますか。(ロ)偽りの宗教を苦しめるわざは,だれの干渉を受けませんか。
44 偽りの崇拝を行なう者が受ける宗教的な苦しみは,遂に彼らが滅ぼされてしまうまでやむことがありません。その滅びは,放縦と不道徳に走って人の道を乱したソドム,ゴモラに臨んだものに相当します。小羊イエス・キリストも天使も,偽りの崇拝者が苦しむのに任せるでしょう。エホバ神は,今のものも昔のものも人間の作ったものを崇拝する者に対して火と硫黄のような神の裁きの音信をそそぐ地上のクリスチャン証者にそのわざを行なわせつづけます。「その苦しみの煙は世々限りなく立ちのぼり,昼も夜も休みが得られない」と述べた黙示録 14章11節の言葉は,そのことを意味しているのです。新聞,雑誌,法延の記録その他の出版物にのせられた1919年以降における宗教界の歴史は,その事実を証明しています。
45 偽りの崇拝を行なう者は遂にソドム,ゴモラのように滅ぼされるまで絶え間なく苦しみ,休みを得ることがありません。このような絶え間のない苦しみを受けてのち完全に滅ぼされることを証明する煙は,永遠に立ちのぼります。
46 裁きの時は短いゆえに,エホバの崇拝者は何をしませんか。
46 この事に照らしてみるとき,ヨハネの見た者すなわち「永遠の福音」を携えて中空を飛ぶものが,すべての国民,部族,国語,民族の人にむかい,天地の唯一の創造主を真の神として恐れ,あがめ,崇拝するように呼びかけている理由が理解できます。比較的に短い期間に過ぎない神の裁きの時は,人間の組織すなわち獣のように残酷な記録を歴史に残し,エホバ神の崇拝を妨害する組織をあがめ,偶像化し,崇拝する時ではありません。神の怒りの杯に混ぜものなしに盛られた,神の怒りのぶどう酒を飲みたくなければ,また火と硫黄の苦しみとそれにつづく永遠の滅びを受けたくなければ,創造主である神の崇拝に立ち帰らねばなりません。ヨハネが幻の中で見た第三の天使は,この古い世に対する神の裁きの「とき」に,偽りの崇拝をする者がこのようにいま罰を受けることを宣言しました。従って第三の天使の宣言した通りにならなければなりません。裁きの宣明は天使の導きの下に行なわれています。
真の崇拝者には忍耐が必要
47 この裁きの時がエホバの崇拝者にとって容易な時でないことは,どうしてわかりますか。黙示録 14章12節はそのことをどのように示していますか。
47 真の崇拝者は創造主なる神から是認され,その恵みを得ています。しかしそうであるからと言って,この裁きの時は真の崇拝者にとって容易な時であると考えてはなりません。偽りの崇拝をする者,「獣」とその「像」によって象徴される彼らの組織は,創造主を崇拝するクリスチャン証者を決してこころよく思っていません。この古い世に関する神の裁きを宣明するエホバの証者に対して,偽りの崇拝者の強力な組織は獣のように振舞います。そして合法,非合法を問わずあらゆる手段を用いて無理やりにエホバの崇拝をやめさせ,人間の作った組織の崇拝にエホバの証者を加わらせようと努めます。その理由で獣とその像の崇拝者およびその受ける苦しみを述べた直後に,黙示録 14章12節は次の言葉を加えているのです。「ここに,神の戒めを守り,イエスを信じる信仰を持ちつづける聖徒の忍耐がある」。今日の事態は神の証者に忍耐を要求します。
48 従ってエホバのクリスチャン証者は何をしますか。
48 では創造主なる最高至上の神の証者である私たちは,何をすべきですか。信頼できる神の助けによって,私たちは今まで耐え忍んできました。しかしこれからもまだ忍耐を証明しなければなりません。私たちは生きており,神の裁きの時の残された期間,偽りの崇拝者と偽りの神々,偶像のみちた世で生活をつづけます。それで「神の戒めを守り,イエスを信じる信仰」から離れてはなりません。そのためどんなに忍耐が必要でも,神の戒めを守りつづけ,イエスに対する信仰を保ちつづけねばなりません。
49 この裁きの時に私たちはだれの導きに従うべきですか。私たちの使命はどのように重大ですか。
49 従って私たちは中空を飛ぶ天使の導きに従いつづけ,この天使あるいは天使の一団が「大声で」教える「永遠の福音」を受け取り,これを「あらゆる国民,部族,国語,民族」に伝えなければなりません。真の崇拝者にとって「福音」すなわち喜びの音信であるものが,すべての人にとって良いたよりでなくても,それはやむなきを得ません。創造主エホバ神に敵対する,偽りの崇拝者にとって,これは良い音信ではありません。良いたよりの中には,創造主なる神の刑罰に関する知らせも含まれています。神から伝道の使命を与えられた者は,神の刑罰を宣べ伝えることを命ぜられています。
50 ほかにどなたがこの責務を持っていましたか。その方はナザレを訪れた時,この使命を受け入れたことをどのように示しましたか。
50 愛の主イエスも,この務を委ねられていました。ヨルダン河でバプテスマを受けてすぐ後,エホバ神は聖霊によってイエスに油をそそぎました。その育った町ナザレのユダヤ人会堂において,イエスはイザヤの預言を読み,それをご自分に適用されました。「主エホバの霊われに臨めり,こはエホバわれに膏をそそぎて貧しき者に福音をのべ伝ふることをゆだね,我を遣して心の傷める者をいやし,とらはれびとにゆるしをつげ縛められたるものに解放をつげエホバのめぐみの年とわれらの神の刑罰の日とを告しめ,又すべて哀しむ者をなぐさめしめたまふなり」。(イザヤ 61:1,2。ルカ 4:16-21)イエスでさえ「神の刑罰の日」を宣べ伝えました。しかし同時に「エホバのめぐみの年」を宣べ伝えたのです。羊のようなイエスの追随者も今日同様にしなければなりません。
神の刑罰に喜ぶ
51,52 (イ)エホバの刑罰を宣明することでさえ,なぜ喜びを与えますか。(ロ)モーセと同じく,エホバの正義の僕はどう感じますか。
51 権力者に踏みつけられた柔和な人,神の真の崇拝の見える組織が,汚れのない真の崇拝の敵によって破壊されるのを見,心をいためた人,悪魔の組織,大いなるバビロンに捕われて宗教的な自由を奪われた人,宗教的に捕われて光を奪われ,心ならずもつながれている人にとって,エホバ神の刑罰を告げる知らせは良いたよりです。
52 偽りの崇拝を行なうこの世の悪に喜ぶ人ではなく,真の崇拝をする会衆に加えられた害に悲しむ人にとって,「神の刑罰の日」の宣明は慰めとなります。その日が来るとき,神の正義の刑罰が自分たちの敵また神の敵の上に執行されたのを見て,その人々は喜び,大きな慰めを得るでしょう。そして追跡してきたパロの軍隊が紅海に沈められたのを見てモーセが歌ったような喜びの歌を歌うでしょう。「我エホバを歌ひほめん彼は高らかに高くいますなり彼は馬とその乗者を海になげうちたまへりわが力わが歌はエホバなり彼はわが救ひとなりたまへり彼はわが神なり我これをたたへん彼はわが父の神なり,我これを崇めんエホバは世々限なく王たるべし」― 出エジプト 15:1-3,18。黙示 15:3,4。
53 いまなお続いている「エホバのめぐみの年」にあって,私たちの責務は何ですか。
53 創造主なる神から委ねられた私たちの責務は,いまなお続いている「エホバのめぐみの年」を知ってその益を受けるように,あらゆる国民,部族,国語,民族の人々を助けることです。こうしてその人々はいま近づいている「神の刑罰の日」を逃れることができます。創造主なる神を知り,正しい恐れをもって愛と崇拝と栄光をささげるように,その人々を援助しなければなりません。
54 (イ)この地球はだれのためのものではありませんか。(ロ)従ってどなたがこの世界から偽りの崇拝者を一掃しますか。正義を愛する人々はこの事に関して何をしますか。
54 地球が偽りの崇拝の場所になることは,創造主のみ心ではありません。地は創造主をおいて造られたものを拝む人々の場所ではないのです。偽りの崇拝を行なっている何億の人々を地球上から滅ぼすのは,私たちの務ではありません。それは創造主のなされることです。創造されたものが神の道を離れるならば,そのものの存在を消し去ることは創造主の権利に属します。「刑罰の日」に偽りの崇拝者を地から絶つのは神のなさることであり,神はそのお目的を明らかにされました。しかしその事を前以て彼らに告げるのは私たちの務です。人々がそれを好まなくても,意に介する必要はありません。偽りの崇拝を行なう人々は,「永遠の福音」の預言する物質的な益をことごとく望んでいますが,神の条件に従ってその永遠の益を受け入れようとしません。神の御国のもと栄光にみちる楽園の地で完全な人間となって永遠に生きる賜物を受けるため,偽りの崇拝をやめ,その宗教の許す放縦をやめようとはしないのです。
55 私たちはどなたを喜ばせようとすべきですか。
55 創造主なる神の裁きの行なわれる短かい期間に「永遠の福音」を宣べ伝える私たちは,その人々を喜ばせることはできません。私たちは裁き主である神を喜ばせ,神に仕えます。そして真実の神を崇拝したいと願う柔和な人々に,神の音信を伝えます。人が栄光を帰すべきものは神です。
56 天と地はどのように神の栄光をあらわしていますか。神を賛美することはそれだけで十分ですか。なぜ?
56 詩篇 19篇1-4節は意義深い言葉を述べています。「もろもろの天は神の栄光をあらわし,大空はみ手のわざをしめす。この日は言葉をかの日につたえ,この夜は知識をかの夜につげる。話すことはなく,語ることなく,その声も聞えないのに,その響きは全地にあまねく,その言葉は世界のはてにまで及ぶ」。しかし神の栄光を語り,そのみ手のわざを語り告げるのを,ことばのない物質の天および昼と夜の栄光にのみ委ねておくことは正しくありません。
57 (イ)今日,普通の人は神の福音を理解するために,なぜ助けを必要としていますか。(ロ)「永遠の福音」を理解してそれに喜ぶ私たちは,何をすべきですか。
57 今日一般の人々は間違った宗教,聖書の高等批評,あやまって科学と呼ばれる,いわゆる科学などに災されて,間違った宗教的考えを持っています。そこでこれらの人々が天を見,広い空にあるものを昼夜見て正しい理解を得るとは期待できません。そこに神の栄光を読みとり,それを神のみ手のわざと呼ぶことを期待するのは無理です。物質の天,太陽,月,星,雲などの美しい空を見ても,すべての悪を除き,いま正しく用いられていない地球を言いようもなく美しいパラダイスに変えて,神の国の下に創造主なる神を崇拝する人々の永遠の住家にするという神の愛あるお目的を学ぶことはできません。神は文字に書かれたことば聖書を造り,私たちや他の人々に「永遠の福音」を告げられています。私たちは人々に神のことばを与え,「福音に聞き従」うように人々を助けなければなりません。―ロマ 10:16,17,新口。
58 この「終りの時」における私たちのすぐれた大きな特権は何ですか。
58 今日私たちの持つ特権は,昔ベツレヘムの野で栄光の御使を見,神と神の恵みを求めるすべての人に及ぶ「歓喜の音信」を聞いた羊飼のそれよりも遙かにまさったものです。19世紀前,使徒ヨハネは幻の中で中空を飛ぶ天使が地をめぐって「永遠の福音」を宣べ伝えるのを見聞きしました。今日,かぎりない神の恵みによって私たちの持つ特権は,この天使の伝える喜びの音信をとりあげ,全地に早くそれを宣べ伝えることです。愛の心をもって従順に,また臆せずにこの事をするとき,「あらゆる国民,部族,国語,民族」の大ぜいの人が偽りの宗教を離れ,神を恐れると共に神に栄光を帰するのを見る喜びは私たちのものとなります。私たちはその人々を喜んで迎え,共に創造主を崇拝します。それは創造主を永遠に立証すると共に,私たちの永遠の救いとなります。