この世の霊に臨む災を避ける
「一同は聖霊に満たされて,大胆に神の言を語り出した」― 使行 4:31,新口。
1 エホバの裁きは,大いなるバビロンがその滅びに先立って何を経験すべきことを定めていますか。
宗教的な大いなるバビロンはこの世の精神を持っています。そしてユーフラテス河畔にあった古代バビロンと同じく滅びるでしょう。しかしその滅びる前に神は災をその上に臨ませ,打撃をこうむらせることを定めました。むかし神は神の民を虐待した世界強国エジプトに大きな災を送りました。不当な奴隷の束縛からエホバの民を解放することを拒んだエジプトの王パロに対して,神は言われました,「わたしは,こんどは,もろもろの災を,あなたと,あなたの家来と,あなたの民にくだし,わたしに並ぶものが全地にないことを知らせるであろう。わたしがもし,手をさし伸べ,疫病をもって,あなたと,あなたの民を打っていたならば,あなたは地から断ち滅ぼされていたであろう。しかし,わたしがあなたをながらえさせたのは,あなたにわたしの力を見させるため,そして,わたしの名が全地に宣べ伝えられるためにほかならない」。(出エジプト 9:13-16,新口)同じく現在の組織制度に7つの災が加えられます。
2 これら7つの災は実際には何ですか。
2 これら7つの災は,大いなるバビロンすなわちバビロン的宗教の世界帝国が滅びる前にエホバ神が現在の組織制度に加える裁きという打撃つまり不利な裁きの表明です。―黙示 15:5–16:21。
3 (イ)大いなるバビロンは人々と王たちに対して,どのように振舞ってきましたか。(ロ)大いなるバビロンは,ここ何年かのあいだ何を感じてきましたか。「ものみの塔」の読者のだれであっても,それについて何をできますか。
3 使徒ヨハネに与えられた幻に描かれているように,大いなるバビロンはあらゆる言語の人々,群衆,国民の上に座り,惑わされた貧しい人々を経済的にも圧迫しています。また「地の王たちを支配」しています。そして政治指導者の保護と支援を受けるために宗教と政治の一体化をはかって,政治の支配者と宗教的な姦淫を行なっています。大いなるバビロンは王たちと共にエホバ神の前で流血の罪を負っているのです。すでに何年かの間,彼女は神の加えた裁きの打撃すなわち災を感じてきました。この「ものみの塔」を手にしている読者の中にも,バビロン的宗教の世界帝国に属しているために,これら神からの災に不平を言い,それに反対した人があるかも知れません。これは最高至上の神エホバから臨む災であるゆえに,何人といえども天使を通してそゝがれるこの災をとどめることはできません。では何をすることができますか。
4 天からの声は何をせよと告げていますか。なぜ直ちにその事をすべきですか。
4 使徒ヨハネの言葉通りにすることができます。「わたしはまた,もうひとつの声が天から出るのを聞いた,『わたしの民よ。彼女から離れ去って,その罪にあずからないようにし,その災害に巻き込まれないようにせよ。彼女の罪は積り積って天に達しており,神はその不義の行いを覚えておられる』」。その受ける最後の災は死であり,嘆きであり,ききんであり,火による滅びです。「彼女を裁いたエホバ神は強い」からです。(黙示 18:4-8,新口と新世)いまや彼女に加えられている災を避け,最後の滅びを共にすることを避けるには,彼女から離れ去らなければなりません。ちゅうちょせずにその事をして下さい。最後の災はあたかも「一日のうちに」臨んで,彼女を全く滅ぼしてしまうからです。
5 彼女を離れ去るとは,どうすることですか。
5 「彼女から離れ去」ることは,神が「わたしの民」と呼ばれる人々すなわちエホバの民の一人になることです。そして族長ノアが大洪水の直後に行ない,また曽孫ニムロデのバビロン建設以後にもつゞけたように,神を崇拝しなければなりません。―創世 6:9; 8:18-20; 9:28–10:12。
6,7 (イ)この道をとるのは自分一人ではないことから,なぜ勇気が得られますか。(ロ)基礎的にはこれらの人々はだれですか。いまその人々は何と呼ばれていますか。
6 しかし勇気を出して下さい。何十万の敬虔な人々が天からのこの声に従って,すでに大いなるバビロンから出ました。そして大いなるバビロンの下におかれて搾取され,その奴隷とされることを拒絶しています。宗教の自由を愛するこれらの人々は世界中におり,194ヵ国にいて162の言語を話し,読むこれらの人々から報告が寄せられています。
7 この人々はバビロン的宗教の世界帝国から離れ,生ける真の神であり,聖書の神であり,エホバという名をお持ちになる神のみを崇拝しています。(詩 83:18。イザヤ 12:2; 26:4)この人々はクリスチャンですが,キリスト教国の生み出す種類のクリスチャンではありません。むしろ指導者であり手本であるイエス・キリストにならいます。イエス・キリストはエホバを神として崇拝しているからです。イエスはエホバの「忠実な真の証人」であり,最初の殉教者アベルから西暦時代のクリスチャン証者に至るまでつゞいた証者の中でもおもなかたでした。(ヘブル 11:4–12:3。黙示 1:5; 3:14。ヨハネ 18:37)(キリスト教国を含む)大いなるバビロンから離れ出た敬虔な人々は,今日エホバのクリスチャン証者として知られています。―イザヤ書 43章10-12節,44章8節をごらん下さい。
8 これら従順な人々は,そそがれる災に関して何を経験していますか。
8 天からの命令に従ってバビロン的宗教の世界帝国の中から出た人々は,大いなるバビロンが滅びる前にこの組織制度にそゝぐべきことをエホバ神が命じた災を受けません。むしろその人々は,象徴的な災をそゝぐことに加わっています。
9,10 (イ)これらの災を制御することはだれに委ねられていますか。それは何を物語っていますか。(ロ)これらが世の人々に打撃となるのはなぜですか。
9 黙示録 15章の中でヨハネに与えられた幻によれば,災の数は7つであり,その災は神の天の聖所すなわち宮から出てくる7人の御使の制御に委ねられています。今日,黙示録の預言の成就において,7つの災は実際の鉢からそゝがれるのではなく,黙示録 16章に描かれている結果を文字通りにもたらすのではありません。「神の激しい怒りの満ちた」鉢といわれている通り,災というのは神の怒りの表われです。神の怒りを受けるものの上に災はそゝがれます。災とはこれら否認されたものに対する神の裁きの表明です。
10 災は不利な裁きのことです。この裁きはこのような悪いものの正体をあばき,それが裁き主である神からどう見られているか,このような悪を支持しそれから利益を得ている人々が神の裁きによってどうなるかを明らかにしています。この裁きは「この世の支配者」に惑わされているこの世の人々の見方とは正反対のものです。そこで神の裁きが世界的に宣明されることは,この世の人々にとって災となり,打撃となります。
11 (イ)神の裁きを宣明するのはだれですか。なぜ?(ロ)歴史によれば宣明者はだれですか。
11 災をみたしたこれらの鉢は,神の命ずるまゝに働く天の聖なる御使に委ねられています。従って神の怒りの裁きを宣明することは,目に見えない天使の導きの下に行なわれるに違いありません。これらの天使が化身して人間の目に見えるさまに現われることはありません。従ってこの組織制度に対する神の裁きを宣明するわざは,使徒ヨハネが当時において行なった如く,イエス・キリストの忠実な追随者の手によって行なわれるのです。宣明するわざは地上の人々が行なわねばなりません。天使は「仕える霊」であって,これらの人々に「奉仕」します。(ヘブル 1:13,14,新口)現代の歴史に記録された事実によれば,この宣明者は神の命に従って大いなるバビロンを出たエホバのクリスチャン証者です。
災をそそぐ
12 何時これらの人々は第1の災とも言える音信をそそぎ始めましたか。
12 1922年を振り返ってごらんなさい。その年の記録をしらべると,聖書の研究生であるこれらの献身したクリスチャンは,国際連盟によって自らをいやし,安定をはかっていた人間社会にそのとき音信をそゝぎ始めたことがわかります。それは神のことばの音信であって,黙示録 16章2節のいう第1の御使のそゝいだ災に相当します。1922年,オハイオ州シーダーポイントで開かれたこれら聖書研究生の国際大会において採択された決議がその端緒となりました。
13 その後の災いは何時またどこでそそがれ始めましたか。
13 次の6年間にカリフォルニア州ロサンゼルス(1923年),オハイオ州コロンバス(1924年),インデアナ州インデアナポリス(1925年),英国ロンドン(1926年),カナダ,オンタリオ州トロント(1927年),ミシガン州デトロイト(1928年)において,国際的な大会が開かれました。これらの重要な大会においても決議が採択され,多くの言語で印刷されて全世界に配布されるようになりました。これらの決議あるいはそれに関連した資料の中で,象徴的な災に相当する神の裁きが表明されました。その及ぼす影響は黙示録 16章3-21節に描かれています。これら7つの決議および関連した資料は補足的な裁きの音信をそそぐことの尖端となりました。このそゝぐことは今日に至るまでやんでいません。
14,15 (イ)これらの災が強力に確証されたのは何時でしたか。またどこで?(ロ)この大会はどんな点において世界一周の連続した大会でしたか。
14 1963年は過ぎました。しかしその年の夏,黙示録 16章の7つの災の内容を強力に確証することが起きました。それは文字通り全地に響き渡ったのです。「エホバの証者の永遠の福音大会」と名づけられた一連の大会が6月30日から9月8日までの10週間にわたり,北アメリカ,ヨーロッパ,アジア,オーストラリアおよび赤道の南北にわたる太平洋の島々で開かれました。その最初のものはウイスコンシン州ミルウォーキー,最後のものはカリフォルニア州パサデナにおいてそれぞれ8日間にわたり開催されました。
15 これらの大会が世界を一周するひとつの大会であったのは,同じプログラムで行なわれたことのほかに次のことがあるのです。すなわちヤンキースタジアムにおけるニューヨーク大会(一連の大会中2番目のもの)以後,583人の大会出席者が一団となって東回りで世界を一周し,各国の大会開催地に立ち寄ってその国のエホバの証者と共に大会に出席したことです。ギリシャ,レバノン,ヨルダンなど,国の法律によって大会の禁ぜられたところにおいても,これらの人々は土地のエホバの証者と交わり,また聖書にゆかりのある土地を旅行しました。
16 (イ)公の大会またギリシャ,レバノン,ヨルダンにおいて何が採択されましたか。(ロ)何人がこれを採択しましたか。それはどのように流布されていますか。
16 これら公の大会のそれぞれにおいて,「私たちすべてはなぜ決議に参加すべきか」と題する話があってのち,大会出席者は非常な熱意と誠意をもって強力な決議を採択しました。考えてごらんなさい。ミルウォーキーで5万3112人,ニューヨークで8万4890人,ロンドンで3万9663人,ストックホルムで2万2009人,ミュンヘンで9万1748人,ミラノで1万6262人,マニラで2万4508人,メルボルンで9427人,オークランドで4293人,パサデナで8万1082人がそれぞれ永遠の福音大会の決議を採択したのです。ギリシャ,レバノン,ヨルダンにおいては,それぞれの国語の決議文が会衆に渡され,それを紹介する話の後で採択されました。こうして合計45万4977人がこの同じ決議を発声によって可決しました。この決議は他の国々の全国大会においても提出され,可決されています。それはまた1963年11月15日号「ものみの塔」(日本語では1964年3月15日号)に載せられました。「ものみの塔」は66カ国語で全世界に420万部も配布されています。
17 この一つの決議の中に何が含まれていますか。それは人間社会の前に何を提出していますか。
17 紹介の話をも含めてこの決議は,黙示録 16章の7つの災全部にわたってその真髄を述べたものです。それでこれは1922年から1928年までの7年間にわたり,7つの連続的な決議と関連した資料によって最初ひろめられた裁きの音信を含むことになります。この独自の決議は少しも妥協することなく,またその結果を恐れることなしに,全社会の前に事実を提出しました。その事実とは何ですか。次にそれをあげます。
18 第1の事実は何でしたか。
18 神の約束による御国を無視して,現在の政治組織を好んで崇拝することは,地上に人間の作り出した組織制度を温存させる結果にはなりません。神の目から見るとき,このような人々は悪性の「でき物」に苦しめられており,それはいやされずに命とりになります。
19 第2の事実は何でしたか。
19 急進的な政治運動,動揺する人間の組織もまた神の怒りを受け,災に苦しめられます。このような革命運動は,流されて固まった人間の血のように生命を支えることも与えることもできません。神の裁きはそのことを述べています。
20 提出された第3の事実は何でしたか。
20 生命の源であるエホバ神の教えを受け入れずに,人間の口から出る言葉と教え,宣伝を好んで飲み込むことは命とりになります。それは今までに恐るべき流血をもたらしました。生命を支える水のかわりに,人々は遂に大いなる裁き主の御手によって自分自身の血を飲まされることでしょう。
21 第4の事実は何でしたか。
21 人間は,生命,光,いやしを与える霊的な太陽として創造主エホバ神を認めることを拒絶してきました。人々は,人間男女を政治,経済,社会,宗教上の天に高めて,これらの著名な人々に光と暖かさを求めています。この事は神から災を受ける結果となりました。人々は自らの選んだ光の熱によって苦しめられています。人間の光の熱にこがされ,圧迫に苦しむ人々は,いまや明らかにされた神のみ名をけがし,少しも悔い改めようとしません。それで人々は神から保護を受けることなく災だけを受けます。
22 第5の事実は何でしたか。
22 地の政治組織はニムロデの王国以来いまに至るまで創造主なる神のものではなく,神の敵対者サタン悪魔のものです。人々を支配する人間の政治組織の座は,神の大敵対者と取り引きして得たものといえます。(黙示 16:10; 13:1-4。マタイ 4:8-10。ルカ 4:5-8)そのため神の祝福の光を与えられずに,人間の国は暗黒にとざされており,政治家はまし加わる暗黒の事態から世界を導き出すすべを知りません。
23 第6の事実は何でしたか。
23 大いなるバビロンすなわちバビロン的宗教の世界帝国は,古代バビロンがユーフラテス河を支配したのと同じように人々を支配してきました。それは人々が神の国を第一に求めることを妨げてきました。エホバ神また神に代って治める王イエス・キリストは,大いなるバビロンの「水」を干して無防備の状態に陥れ,それを滅ぼすでしょう。軍備をととのえた「王たち」すなわち地の政治支配者は,悪鬼の餌食になりました。大いなるバビロンはこれらの王たちと霊的な姦淫を犯してきたのです。悪鬼に影響されたこれらの王たちは,「全能の神の大いなる日の戦闘」におけるハルマゲドンの滅びにむかって進んでいます。そのすべては国家の主権を失うでしょう。
24 第7の事実は何でしたか。
24 過去4000年のあいだ人類の世界のために創造された空気の中で世界は生活し,またそれによって生きてきました。この大気また空気は,創造の第2日目に地の呼吸する生物のために大気圏を造り出したエホバ神から祝福されていません。諸国,諸都市,大いなるバビロンが吸って生きているこの「空気」は,「この世の神の霊」です。それは「この世の神」サタン悪魔から出た精神です。それはエホバの裁きを受け,破壊的な災を招きます。―黙示 16:17-21。
25 第7の災はそれ以前のものとくらべて,どのように致命的な影響を与えますか。
25 最初の6つの災は,人間の生存に不可欠なもの,すなわち食物を供給する地球,河と水の源,光と熱を与える太陽に影響を及ぼします。しかし7番目の,そして最後の災は人間に致命的な影響を与えます。それは人間の呼吸する「空気」を害するからです。空気なしに人間は生きることができません。この災は最も深刻なものであり,事態の最高潮をもたらすはずです。たしかにその通りです。
26 1963年の決議の採択によって,エホバは災をそそぐことにどのように力を加えられましたか。
26 昨夏開かれたエホバの証者の「永遠の福音」大会で決議を採択した45万4977人を用いて,宇宙の偉大な裁き主は7つの象徴的な災をそゝぐことにいっそうの力を加えました。1963年の決議を採択した人の中で何十万の人々は,1922年から1928年にわたって「七つの最後の災」をそゝぎ始めることに参加しておらず,災の内容をほとんど理解していませんでした。いまこの一つの決議によって,これらの人々は大いなる裁き主エホバ神から臨んだ災に賛成し,黙示録 16章に預言的に描かれた災をそゝぐことに全幅の支持を与えるという立場を公に表明したのです。
27 決議を採択した人々は,1年間に何を成し遂げましたか。私たちはいま何をしなければなりませんか。
27 1963年の大会の決議を採択するというひとつの行いによって,その人々は災をそゝぐことに対し,意識的また理知的に全幅の支持を与えました。それで以前の大会においては連続7年を要した事が,1年のうちに成し遂げられたのです。しかしその人々は自らの語った言葉に真実でなければならず,1963年の大会の決議に表明された重大な決意にふさわしく生きなければなりません。
正しい精神が必要
28 (イ)1963年のこの決議は,とくに最後の2節に示されている通り,なぜ熾烈なものでしたか。(ロ)この2つの節はどんな決意を表明していますか。
28 1963年の決議は熾烈なものです。それは決議を採択した人々すなわち献身してバプテスマを受けたクリスチャンの精神,またエホバのクリスチャン証者としての行動にその人々を動かす精神を反映しています。それはとくに決議の最後の2節に表われていますから,それをここにのせる事にします。
現在,私たちはこの世にいることを余儀なくされていますが,私たちはこの世の精神を吸い込みません。それは神の御霊ではなく,「この世の支配者」である悪魔の精神だからです。人類の世界は,目に見えないその支配者の精神に導かれて,何千年のあいだ堕落した肉欲のわざにふけってきました。いまや世界は,サタン悪魔の精神を吸い込んで,神にさからう肉欲のわざにふけってきた報いを刈り取っています。現代の宗教的バビロンは,神の御霊をつちかうことを人々に教えませんでした。人は神の御霊の実を刈りとるとき,神の造る新しい秩序に永遠の生命を獲得するのです。ゆえに世界は,かつてないほどの大きな艱難に直面しています。この大艱難にふるい動かされるとき,世のすべての政治組織と現代の宗教的バビロンはこなごなに砕け,たとえ山のように堅固な組織も,島のように遠く離れている組織も,人間の組織はみな滅びうせてしまうでしょう。
したがって私たちは,人間の歴史上で最も重大な時期に直面しようとしています。神の正義の裁きはまさに執行されようとしており,私たちにとっていまは決定を下すべき時です。滅びに定められたこの世の諸国家は,超人間的な悪鬼に導かれて行進しています。しかしそれを見る私たちの決意は,すでに設立された,メシヤによるエホバ神の御国の側に立ち,その立場を固く守ることです。同時に私たちの祈りは,神がますます豊かに御霊を与えて下さることです。神の御霊をつちかうことに努め,汚れのない清い崇拝を神にささげてゆくとき,私たちは神の武具で何時も身を固め,血肉に対してではなく,「天上にある悪の霊」に対して戦いつづけます。この戦いは,「この世の支配者」であるサタンとその悪鬼が,キリストの治める1000年のあいだ底のない穴につながれるまで,つづけられるのです。イエス・キリストの下にある神の天使は,私たちのために働いています。私たちはこの事をエホバ神に感謝します。天使たちの助けと神の聖霊および御ことばの助けによって,私たちは差別なくすべての人に対して,メシヤによる神の国と神の裁きに関する「永遠の福音」を宣べ伝えつづけます。神に敵対する者にとり災となっても,神の裁きは必ず執行され,霊と真をもって創造主なる神に正しい崇拝をささげたいと願うすべての人々を解放します。
29 (イ)これらの災はどんな方法でそそがれますか。(ロ)災をそそぐことに加わるには,何が必要ですか。
29 神の怒りの象徴的な7つの災に盛られた不利な裁きが表明され,公にされたのは,1963年の大会の決議の中だけではありません。ものみの塔聖書冊子協会のすべての出版物の中でそれは宣言され,そゝがれています。この協会はあらゆる場所のエホバの証者が管理および出版の機関として用いている団体です。目に見えない天使の導きの下に「七つの最後の災」をそゝぐことに加わるには,勇気と大胆さが必要です。政治国家の国家主義的な崇拝や,世界平和と安全を目ざす国際的な組織すなわち111の加盟国を擁する国際連合の崇拝に反対の立場をとるには,勇気がいります。最初の災はこの政治的な崇拝を打ちます。
30 (イ)民主的な西欧の国では,象徴的な「海」に対抗して立つことがなぜ容易かも知れませんか。(ロ)しかしこのような国においてさえ,真のクリスチャンは何を固く守りますか。
30 革新的な形態の政府が一般に支持されず,また非合法化されて政権をとり得ない国々では,保守的な形態の安定した政府つまり「地」に対して戦いを挑む象徴的な「海」に反対の立場をとることも容易です。しかし西欧の「民主的な」国々においてさえも,献身してバプテスマを受けた,イエス・キリストの真の追随者は,人類の世界の政治的な争いに対して絶対の中立を守らなければなりません。このような人は,象徴的な獣すなわち全地の見える政治的な組織がどこからその権威を受けたかを知っています。第5の災の中で示されているように,「獣」は暗黒の国を支配し,その民は天の神をのろいます。黙示録 13章1-4節によれば,政治的な「獣」は,「エホバの前に権力ある猟夫ニムロデ」が権威を得たと同じ源から権威を受けています。―創世 10:8-12。
31 すべての国において,彼らは何に従わねばなりませんか。しかし何に参加しませんか。
31 中立の立場をとるイエス・キリストの追随者は,ロマ書 13章1-7節において現在の地的な組織制度の「上にある権威」に従うことを命ぜられています。しかし同時に指導者イエス・キリストにならわなければなりません。それで「彼らも世のものではない」ため,世の政治組織に加わらず,また第3の災が注意をひいている流血にあずかりません。(ヨハネ 15:18,19; 17:14-16)このために世はイエスの追随者を憎みます。
32 (イ)第6の災の中で,世界の軍事主義はどのように示されていますか。(ロ)クリスチャン証者は何をすることを拒絶しますか。なぜですか。どんな結果になりますか。
32 第6の災の中に描かれているように,今日,全地の「王たち」すなわち政治支配者とその軍隊は,悪鬼の霊感する宣伝の言葉に導かれて行進しています。天地の主権者なる創造主と最後の戦いをするため,ハルマゲドンを臨む地点に向かって行進しているといえるでしょう。そこにおける戦いは「全能の神の大いなる日の戦闘」と呼ばれています。これらの「王たち」とその軍隊は「全能の神」に敵対してどんな力がありますか。神の宇宙主権に敵対する軍隊が全能の神に勝つ見込みは全くありません。エホバのクリスチャン証者はそのことを知っています。クリスチャンの証者は,主なる神と戦おうとしている人々と共に行進することを拒絶します。しかし諸国民の間では政治支配者やその軍隊と共に行進することが実際に好まれているため,全能の神のクリスチャン証者は批判されるのです。神の御国の福音を伝道することはおろか,仲間のクリスチャンと共に集まって崇拝することさえも法律によって禁じている国は少なくありません。そのような国ではやむなく地下活動が行なわれます。
33 今日どんな伝道のわざをしなければなりませんか。どんな事にもかかわらず,エホバのクリスチャン証者はすべての国民から憎まれていますか。
33 今日,伝道のわざは人の住む全地において,また例外なくすべての国民に対して行なわれねばなりません。イエス・キリストはこの組織制度の終りに関する預言の中でご自分の真の追随者に向かって次のように申されました。この言葉は命令として受け取ることができます。「この御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである」。(マタイ 24:3,14)この組織制度がその政治支配と共に終っても,人類を治める政府がなくなって無政府状態が出現するのではありません。不完全な人間の支配がハルマゲドンにおいて終りを告げるとき,御子イエス・キリストによる全能の神の国が治めてすべての善意者を永遠に祝福します。しかしこの良いたよりを伝道しているにもかゝわらず,エホバのクリスチャン証者はイエスの預言通り,すべての国の人から憎まれています。―マタイ 24:9-12。
34 (イ)しかし黙示録 13章10節と14章12節は,いま真のクリスチャンに何が要求されると述べていますか。(ロ)なぜ私たちはそそがれる第7の災を避けることを望みますか。
34 そのため象徴的な獣とその像の活動しているこの時代において,良いたよりの伝道者には忍耐がいります。しかし黙示録 13章10節と14章12節も,世界政治のこの段階において真のクリスチャンには忍耐の要求されることを預言していました。信仰をあらわし,最後の勝利が得られるまで忍耐するには,「この世の霊」とは異なった精神を持たねばなりません。「大いなる都」大いなるバビロンと「諸国民の町々」,象徴的な「山々」と島々は,大気に包まれるようにこの世の精神にすっぽり包まれています。「この世の神」のゆえに,それらのものはこの精神にひたされ,空気のようにそれを吸い込んでいます。7番目の最後の災をそゝぐことの中に描かれているように,エホバ神の怒りは,大いなるバビロンと諸国民の町々が吸って生きている「空気」すなわち精神に対して向けられています。この災は滅びをもたらします。私たちの願いはこの「空気」に臨む災を避けることです。
35,36 その災とそれにつづくものを避けるため,エペソ書 5章17-20節によれば,私たちは何をしなければなりませんか。
35 神の下すこの災を避け,地震と大きな雹によって象徴される滅びを避けるには,積極的に行動しなければなりません。すなわち1963年に全地をめぐった「永遠の福音」大会において採択された決議の述べることを行なわねばなりません。「この世の霊」に対抗すべきことを書いた使徒パウロは,この象徴的な災の時代になすべき事を告げています。
36 「エホバの御心が何であるかを常に悟りなさい。また酒に酔ってはならない。その中には放蕩がある。むしろ常に御霊にみたされ,神への詩と賛美と霊の歌とをもって語り合い,またエホバにむかって心より歌い,かつ賛美しなさい。また主イエス・キリストの名によって,すべての事につき私たちの父なる神に感謝しなさい」― エペソ 5:17-20,新世。
37 (イ)神のみ霊に満たされることには,どんな益がありますか。(ロ)み霊にみたされるため,どんないろいろの事をしますか。
37 神の御霊に満たされていれば,「この世の霊」の入り込む余地はありません。神の御霊に満たされるとき,酒に酔ったり,感覚をまひさせることはなく,かえって神のみ心にかなった生活を送る力を得ます。こうして神の恵みを得,災を避けることができるのです。御霊に満たされるには,霊のことば聖書を何時も読んでそれに思いをめぐらし,その教えを毎日の生活に実行しなければなりません。文字に書かれた神のことばを理解し,それと一致した生活を送るには,神の御霊の助けが必要です。御霊を神に祈り求めることができます。御子イエス・キリストは言われました,「あなたがたは悪い者であっても,自分の子供には,良い贈り物をすることを知っているとすれば,天の父はなおさら,求めて来る者に聖霊を下さらないことがあろうか」。(ルカ 11:13,新口)神は聖霊を求める者の祈りを聞かれます。
38 神のみ霊の必要を痛切に感じたエルサレムの新しい会衆の願いは,どのようにかなえられましたか。どんな結果となりましたか。
38 昔のエルサレムにおいて,まだ新しいクリスチャン会衆が神のみ霊の必要を痛切に感じたことがありました。ユダヤ人の最高法廷の裁き人は,キリストによる神の国の福音を伝道してはならないと命じたのです。しかし神は御子イエス・キリストを通してこのような音信を伝道することを命じ,そのためにクリスチャンに油をそゝがれました。神に敵対する人々の要求に屈しないため,力と助けが必要でした。そこで神に祈ったのです。何を祈り求めましたか。「僕たちに,思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい……聖なる僕イエスの名によって,しるしと奇跡とを行わせて下さい」。この祈りはどのように答えられましたか。聖書は次のように述べています,「彼らが祈り終えると,その集まっていた場所が揺れ動き,一同は聖霊に満たされて,大胆に神の言を語り出した」。(使行 4:13-31,新口)神の御霊は,神の言葉を守って大胆に行なう力を与えました。
39 神のみ霊に満たされることは,預言者ミカの場合にも,どのように同じ結果を生みましたか。
39 ヘブル人の預言者ミカも神のみ霊に満たされた結果,同じく力を得ました。ミカはイスラエル(すなわちヤコブ)の民の罪と反逆を告げるため,エホバ神から遣わされたのです。「我はエホバの御霊によりて能力身に満ち公義および勇気うちにみつればヤコブにそのとがを示しイスラエルにその罪を示すことを得」とミカは述べています。(ミカ 3:8)それでミカは反対にあっても伝道しました。
40 神のみ霊に満たされるには,自分で聖書を勉強し祈ることのほかに,何をすることが必要ですか。なぜですか。
40 神のみ霊にみたされるには,自分で聖書を学び,祈るほかに,エホバのクリスチャン証者の会衆と交わることが必要です。12使徒時代のクリスチャン会衆も,エルサレムでその事をしました。こうして集まるとき,私たちは全く異なった雰囲気,死に至る「この世の霊」とは異なった空気の中に身をおきます。1963年に世界を一周したエホバの証者の「永遠の福音」大会は,そのことの大規模な例です。それはなぜですか。それはエホバ神のみ霊がこのような集まりに行きわたり,導きを与えるからです。このようなクリスチャンの集まりにおいて,神のみ霊をますます受け入れることができます。私たちにはこの事が必要です。
41 今日,神のみ霊に満たされよとの命令に従うことはなぜ必要ですか。
41 今日,私たちは使徒の命じたところに従って神のみ霊に満たされることが必要です。私たちは「この世の霊」にいま臨んでいる災を避けて,公にも家々にも「大胆に神の言を語」ることを望むからです。