世界展望
失業する牧師
◆ アメリカではプロテスタントの牧師数千人が失業しており,将来就職できる見通しも暗い。生活費が高いため,小さな教会の場合,教会員が自分たちの牧師を財政的に援助することはますますむずかしくなっている。敵意をいだく政府によって帰国を命じられる宣教師がいるため,仕事を捜す僧職者の数はふえている。そして興味深いことに,世界教会をうたう精神は,雇用問題を解決するどころか,問題を助長している。つまり,教会員は,どんな宗派的見解を持つ牧師を好むかという点で意見の一致を見ることができないでいる。
ミサの出席者の減少
◆ カトリックのニューヨーク大司教管区では,日曜日のミサの出席者が1965年から1970年にかけて23%減少した。クラージー・リポート誌には10か国の410の教区のうち343教区を網羅した数字が発表されたが,それによれば,典型的な日曜日のミサの出席者数は82万4,475人から62万7,235人に減っている。
“ロック”音楽まで試みる救世軍
◆ 最近,救世軍の一部の部隊は,“ロック”音楽の演奏を試みている。救世軍アメリカ東部地区部隊は10代の“ロック”グループによる夏期演奏旅行を催し,アメリカ中西部やカナダのノバスコチアでも同様の部隊が登場している。ちまたでの犯罪に対する恐れや,救世軍の音楽に対する一般の人びとの関心の喪失のため,救世軍の街頭部隊が縮少されてきたことがこうした変革の原因となっている。最近のこうした変化は同組織内の保守的な人びとに不満をいだかせている。
精神医学と占星術
◆ 最近,精神病の治療に占星術を利用する精神病医がふえている。精神分析学の創始者のひとりとされているカール・ユングも占星術をいつも利用したと言われている。今日,アメリカのジョージア州アトランタの精神病医エドワード・L・アスクレン博士は,「占星術は高度の精神活動を導くものである」と述べている。同博士は最近ジョージア占星術協会で「精神医学と占星術」という講演を行なった。
インドの実情
◆ 1947年8月にインドが独立した当時,ジャワーハラール・ネールは,「すべての人の目から涙をことごとく拭い去る」ことを約束した。この国では多少の改善はなされてきたが,モハン・ダーリア計画相によれば,貧困状態以下の生活をしているインド人の数は「独立当時と少しも変わらない」とのことである。これは,インドの5億5,000万の人口のうち2億2,000万人が月5ドル以下の収入しか得ていないことを意味する。
性の転換をする魚
◆ オーストラリアの大さんご礁は珍しい海生生物の棲息地として知られているが,最近,そこで別の不自然な事柄,つまりベラ科に属するある種の魚が実際に性の転換をすることがわかった。通常1匹の雄が3匹から6匹の雌を支配している。しかし,雄が死ぬと,最も積極的な雌が雄の地位につき,3週間もたたないうちに,その雌の卵巣は睾丸に変わる。研究者たちはそうした転換を26件観察した。
犯罪は減っているか
◆ 最近の報告から性急に判断して,アメリカでは犯罪が『漸減していると唱える人がいるが,それはほんとうだろうか。このような考え方をする傾向があることに気づいた常時特約寄稿家R・イーガンは次のように述べている。「首都ワシントンのある放送局のアナウンサーは,畏敬の念とも思えるようなものをいだいて,『1971年の犯罪はわずか7%増加したにすぎない』と放送した。わずかにそれだけだ,と言うのである。法務長官R・クレインディーンストは,アメリカの『犯罪は増加から減少に移行している』と豪語した。しかし,忘れてはならないことに,犯罪の比率は依然として上昇しているのである。1968年には重大な罪は447万7,200件生じた。…昨年はそれが559万5,200件に達した。これは1968年よりも151万8,000件多く,3年間に33.9%増加したことになる。言いかえれば,昨年の犯罪は1968年の犯罪の3分の1ほど増加したことになる。統計は考え違いをさせるおそれがある」。
いたる所に見られる犯罪
◆ 犯罪は大都市に限られてはいない。多くの場合,一見平和そのものに思える郊外地区や楽園のような海洋の島々でさえ犯罪はあとを断たない。最近,バージニア諸島で住民8人が射殺された。同諸島の移住者たちのあいだでは,妨害やいがらせ,暴行や強盗同然の事件が話の種にされている。ある看護婦は,「私は11時30分に部屋を出て,隣の自分の部屋まで歩いてゆくのが時にはこわい場合があります」と語った。また,タイム誌の一報道員は一般住民の感情を,「アメリカの大都市の住民の多くが持っているのと同類のしつような病的精神状態」と評している。
少年野球大会
◆ 最近,アメリカのテンプル大学医学部のジョセフ・S・トーグは,アメリカン・ファミリー・フィジシャン誌の中で,野球における過度のピッチングは骨格の点で未成熟な子どもの肩やひじに有害な影響を及ぼすと述べた。その記事は,ゲームそのものだけでなく,少年たちの野球“大会”に見られる激しい競争を非とする資料を上げている。少年たちのチームを作って勝利を得させようとする,おとなのコーチや観客が加える不必要な圧力は,子どもの感情面の発達をも妨げると彼は考えている。
驚きのショックで起こされた殺人事件
◆ なんら殺意がなくても,殺人の罪を問われる場合があるだろうか。確かにありうる。アメリカのニューヨークで3週間にわたって行なわれた裁判で,ミルトン・スミスはひとりの老婦人の両手を縛ったことを認めた。彼はその婦人をなぐったりはせず,たった2ドルのお金と安物のブローチを1個盗んだだけであった。ところが,その経験は老婦人の心臓病を悪化させ,その驚きのショックのため死亡した。同裁判所はこの種のものとしては過去90年間にわたって唯一の事例であるこの裁判で,スミスに殺人の罪を認めた。
運転者の自殺的行為
◆ アメリカの高速道路での事故による運転者の死亡事件のうち15%はおそらく自殺行為によるものであろうとされている。テキサス州のヒューストンで最近行なわれた調査によると,「[調査された28人の]死亡者は,酔って,怒りっぽい衝動的な人びとであった」ということがわかった。高速道路での死亡者の中には,公には事故死とされてはいても,『私が死んだなら,君は悲しむだろう』というたぐいの犠牲者のことばに従った人々がいるものだ。
老齢の公務員
◆ 最近,アメリカのニューヨーク州人権部長は,公務員に関するある調査によると,65歳以上の老齢の公務員は「若い公務員と同程度の,時には明らかによりすぐれた」働きをすることがわかったと述べた。そして,調査結果は「65歳以上の老齢の公務員にとって驚くほど有利」であると語った。その調査では,仕事をする全般的な能力のほか,欠勤,遅刻,就業中の事故などが考慮された。老齢の公務員にとって限界があるのは,かなりの肉体労働を要求する仕事だけであることがわかった。
あなたのお子さんを育てるのはだれか
◆ 親が責任を放棄すれば,子どもたちは別のところに教えを求める以外に道はない。このように論じるのは,自らも父親である作家シド・スミスである。(アメリカ,ニュージャージー州)ベルゲン・レコード誌の中で彼は次のように述べている。「われわれの子どもたちはどうしたのだろうかと問う人がいるが,問題はそうではない。問題なのは,親はどうしたのだろうか,ということである。懲らしめや敬意や一致はどこにいったのか。それは,ほかならぬわれわれ親たちが置きざりにしてきたのである」。彼はまた,両親が共稼することに決めた日から,「子もりや警察署,そして青少年問題の当局者が子どもたちを養子にすることになる」と述べた。
万引きの増加
◆ 最近,チェンジング・タイム誌は,アメリカ人の顧客のうち10人にひとりは万引きを働いていると報じた。その約40%は麻薬常用者である。こうした傾向を食い止めるため特殊な装置や係員を用いているにもかかわらず,逮捕者はわずか5%にすぎない。顧客や従業員による万引きの昨年の被害は約60億ドル(約1兆8,000億円)に達するものと見られている。それは昨年よりもなんと10億ドルも多いのである。
ヘアースプレーの影響
◆ 米食品医薬局医,ジヨン・M・ゴウディは,ヘヤースプレーが肺の疾患を起こしているかもしれないと主張している。同博士はスプレー使用者のある者に,呼吸が短い,軽いせきをする,肺活量の減少などの症状を見いだした。胸部レントゲンは,明らかに肺に吸入されたスプレーのラッカーが肺の内部に集まっていることを示す影を写している。ある地域では美容師の肺の異常は一般の人より10から20%多い。ゴウディ博士のヘヤースプレー使用者に対する助言はスプレーを吸い込まないようにというものである。