ポイント
地上に残っている選ばれたクリスチャンが全て天に行った後も,神に仕える人たちが見捨てられることは決してありません。
1. 選ばれたクリスチャンが全て天へ行くのはいつですか。
以前,エホバに仕える人たちは,選ばれたクリスチャンの一部の人たちはハルマゲドンの戦いが終わった後もしばらくの間楽園となった地球に残っている,と理解していました。それで,「地上に残っている選ばれたクリスチャンが全て天へ行くのはいつなんだろう」と考えていました。でも「ものみの塔」2013年7月15日号で,地上に残っている選ばれたクリスチャン全てはハルマゲドンが始まる前に天へ行くと説明されました。(マタ 24:31)
2. どんなことを疑問に思うかもしれませんか。この記事では何を学びますか。
2 それで次のように考えるかもしれません。「『大患難』の時にエホバに忠実に仕えている『ほかの羊』はどうなるんだろう」。(マタ 24:21。ヨハ 10:16)選ばれた兄弟姉妹が天に行ってしまうと,どうしたらいいのか分からなくなったり,見捨てられたと感じたりするのではないかと思うかもしれません。聖書の記述を読んでそう思うのかもしれません。では,これからそのうちの2つについて考えてみましょう。そして,私たちがそうしたことを心配する必要がないのはなぜかについても考えます。
どんなことは起きないか
3-4. どんなことを心配する人がいるかもしれませんか。どうしてですか。
3 統治体の兄弟たちがいなくなったら,ほかの羊は頼れる存在を失ってエホバから離れてしまうのではないか,と思う人もいます。そうした人が根拠として挙げるかもしれない2つの例を聖書から考えてみましょう。1つ目は大祭司エホヤダの時代の出来事です。エホヤダはエホバへの強い信仰を持つ人でした。妻のエホシャブアトと協力して幼いエホアシュをかくまい,エホアシュがエホバを愛する良い王になれるように助けました。エホアシュは,エホヤダが生きている間はエホバに仕え,良いことを行っていました。でも,エホヤダが死ぬとすぐに悪いことを行うようになりました。エホバに従わない高官たちの言うことに耳を傾け,エホバに仕えるのをやめてしまいました。(代二 24:2,15-19)
4 初期のクリスチャンの時代にも同じようなことが起きました。ヨハネは当時生きていた最後の使徒で,エホバに忠実に仕える人たちにとってとても頼りになる存在でした。(ヨハ三 4)ほかの使徒たちがしたのと同じように,会衆を背教から守るために闘いました。(テサ二 2:7。ヨハ一 2:18)でもヨハネが死んだ後,背教は山火事のように一気に広がりました。そして数十年の間に,クリスチャン会衆は間違った考えや行いによってすっかり腐敗してしまいました。
5. 将来,どんなことは起きませんか。
5 選ばれたクリスチャンが天に行く時に,ほかの羊にも同じようなことが起きるのでしょうか。エホアシュのように教えられた道から外れてしまったり,2世紀のクリスチャンたちのようにエホバから離れてしまったりするのでしょうか。決してそんなことにはなりません。選ばれたクリスチャンが地上からいなくなっても,ほかの羊は十分に世話され,エホバに忠実に仕え続けます。どうしてそういえるのでしょうか。
清い崇拝が途絶えることはない
6. これからどんな3つの時代について考えますか。
6 これからどれほど大変な時代が来るとしても,清い崇拝が途絶えてしまうことは決してない,と確信できます。私たちが生きている今の時代と,古代のイスラエル人や2世紀のクリスチャンが生きていた時代は大きく違っているからです。そういえる理由について,(1)古代イスラエルの時代,(2)使徒たちが死んだ後の時代,(3)「全ての事柄の回復の時」,つまり現代について,聖書から調べてみましょう。(使徒 3:21)
7. イスラエルの王たちや人々がエホバから離れても,忠実な人たちが希望を失わなかったのはどうしてですか。
7 古代イスラエルの時代。モーセは自分の死が近づいていた時,イスラエル人に,「私の死後,皆さんがきっとひどいことを行い,私が命じた道からそれることを,私はよく知っている」と言いました。(申 31:29)さらに,エホバに反逆するなら敵の手に渡される,という警告も与えていました。(申 28:35,36)実際どうなったでしょうか。何百年にもわたり多くの王たちがエホバの目に悪いことを行い,人々もそれに倣って間違った崇拝を行うようになりました。そのため,エホバは邪悪な人たちに罰を与え,イスラエルの王たちが地上の王国を治めることはなくなりました。(エゼ 21:25-27)でも,忠実なイスラエル人は神の言葉がその通りに実現するのを目撃し,エホバに仕え続けるための勇気を得ることができました。(イザ 55:10,11)
8. 2世紀のクリスチャン会衆が腐敗したのは意外なことでしたか。
8 使徒たちが死んだ後の時代。2世紀のクリスチャン会衆が腐敗したのは意外なことだったでしょうか。いいえ。イエスは大規模な背教が起きると言っていました。(マタ 7:21-23; 13:24-30,36-43)使徒パウロやペテロやヨハネもこのイエスの預言が1世紀にすでに実現し始めている,と書いていました。(テサ二 2:3,7。ペテ二 2:1。ヨハ一 2:18)そして2世紀に入ると,クリスチャン会衆は腐敗してしまいました。その結果,背教したキリスト教が誕生し,それが大いなるバビロン(世界を惑わしている宗教全体)の主要な部分となりました。この時もイエスが予告した通りのことが実現しました。
9. 今の時代は古代イスラエルの時代や2世紀とどのように違っていますか。
9 「全ての事柄の回復の時」。今は,古代イスラエルの時代とも大規模な背教が起きた2世紀とも違っています。私たちが生きている時代は何と呼ばれているでしょうか。「終わりの時代」という表現が思い浮かぶかもしれません。つまり,邪悪な体制が間もなく終わろうとしている時代です。(テモ二 3:1)でも,聖書は今の時代のことを「全ての事柄の回復の時」とも表現しています。(使徒 3:21)その期間は「終わりの時代」と同時に始まりましたが,さらに重要な意味を持ち,もっと長い期間続きます。それは,メシアの王国が人間を完全な状態にし,地球を楽園に変える時まで続きます。この期間は1914年に始まりました。その時,何が回復したのでしょうか。イエスが天で王になり,ダビデ王の子孫が再びエホバを代表する王として治めるようになりました。でもそれだけではありません。エホバは,ご自分に仕える人たちが清い崇拝をもう一度行えるように助けました。(イザ 2:2-4。エゼ 11:17-20)では,その崇拝は今後途絶えてしまうのでしょうか。
10. (ア)今の時代の清い崇拝について,どんなことが予告されていますか。(イザヤ 54:17)(イ)こうした預言について知ると安心できるのはどうしてですか。
10 イザヤ 54:17を読む。聖書には「あなたを攻撃するために作られるどんな武器も役に立た[ない]」とあります。この預言は今実現しています。次の言葉も今の時代にまさに当てはまります。「あなたの子たちは皆エホバに教えられ,豊かな平和を味わう。あなたは正しさによってしっかりと据えられる。……何も恐れず,おびえることもない。恐怖を抱かせるものがあなたに近づくことはない」。(イザ 54:13,14)「今の体制の神」であるサタンでさえ,エホバに仕える人たちが行っているエホバについて教える活動をやめさせることはできません。(コリ二 4:4)回復された清い崇拝は決して途絶えることがなく,永遠に続きます。私たちを攻撃するために作られるどんな武器も役に立たないのです。
どんなことが起きるか
11. 選ばれた人たちが天に行った後,大群衆が見捨てられることはないといえるのはどうしてですか。
11 選ばれた人たちが天に行った後,どんなことが起きるのでしょうか。イエスが私たちの牧者で会衆の頭であることを忘れないようにしましょう。イエス自身も「あなたたちの指導者はキリストひとり……です」と言いました。(マタ 23:10)天で王として治めるイエスは,地上にいる私たちを必ず世話してくださいます。それで,何も心配する必要はありません。私たちはキリストがどのように導いてくれるか,細かいことを知っているわけではありませんが,聖書中の幾つかの例を考えるなら安心できるでしょう。
12. (ア)モーセが死んだ後,エホバはご自分に仕える人たちをどのように世話しましたか。(イ)エリヤが別の任務を与えられた後はどうでしたか。(挿絵も参照。)
12 イスラエル人が約束の地に入る前に,モーセは死んでしまいました。イスラエル人はどうなったでしょうか。モーセがいなくなった後,エホバはご自分の民を助けるのをやめてしまったでしょうか。そんなことはありません。ご自分に仕える人々を世話し続けました。モーセの代わりにヨシュアが指導者になるようにし,モーセが生きている間にヨシュアが何年もトレーニングを受けられるようにしました。(出 33:11。申 34:9)さらに,人々を導くために,千人長,百人長,五十人長,十人長といった賢くて経験のある男性たちも任命されていました。(申 1:15)このようにして,エホバに仕える人たちは良い世話を受けることができました。エリヤの時代もそうでした。エリヤは長年イスラエルの間で清い崇拝を推し進めていました。でも後に,エホバから別の任務を与えられてユダに移されました。(王二 2:1。代二 21:12)では,イスラエルの10部族は見捨てられたのでしょうか。いいえ。エリヤから何年もトレーニングを受けていたエリシャがいました。また,教育を受けた「預言者の子たち」もいました。(王二 2:3,脚注)確かに,エホバはご自分に仕える人たちを大勢の忠実な人たちを通して導き,世話し続けました。そのようにして,ご自分の望むことが確実に行われるようにしたのです。
13. ヘブライ 13章5節の後半ではどんなことが保証されていますか。(写真も参照。)
13 こうした例を考えると,選ばれた人たちが天に行った後どうなるかを心配する必要がないことが分かります。聖書には,エホバは決してご自分の民を見捨てないとはっきり書かれています。(ヘブライ 13:5後半を読む。)統治体の兄弟たちはモーセやエリヤのように,トレーニングを行うことがどれほど大切かをよく理解しています。それで,教え導く責任を果たせるよう,ほかの羊の兄弟たちを長い間トレーニングしてきました。例えば,長老,旅行する監督,支部委員,ベテルの監督などのための学校を開いてきました。統治体のさまざまな委員会の援助者も,トレーニングを受けてすでに重い責任を忠実に果たしています。このように,選ばれた人たちが天に行った後もキリストの羊が世話を受けられるよう準備が整えられています。
14. どんな点を覚えておくべきですか。
14 これまで考えてきた通り,選ばれた人たちが大患難の終わりごろに天へ行った後も清い崇拝はずっと続いていきます。エホバに仕える人たちをイエス・キリストが導いてくれるからです。その時,私たちは諸国家の連合体であるマゴグのゴグからの攻撃を受けます。(エゼ 38:18-20)でもその攻撃は一時的なものです。エホバを崇拝することをやめさせることは決してできません。エホバは必ずご自分の民を救い出します。使徒ヨハネは幻の中で,キリストのほかの羊である「大群衆」を見ました。それは「大患難から出てくる」人たちを表していました。(啓 7:9,14)それで,エホバが大群衆を必ず守ってくださることを確信できます。
15-16. 啓示 17章14節によると,選ばれたクリスチャンたちはハルマゲドンの戦いで何をしますか。そのことを知ると力になるのはどうしてですか。
15 ある人は,選ばれた人たちは天に行った後何をするんだろうと思うかもしれません。聖書はその点についてはっきり説明しています。将来この世界の政治体制が「子羊と戦います」。そして「子羊は……彼らを征服します」。その戦いでは,「招かれ,選ばれた忠実な者たち」が子羊を助けます。(啓示 17:14を読む。)この人たちは天に復活した人たちのことです。それで,大患難の終わりごろ天に復活した人たちに与えられる最初の仕事は,戦うことです。選ばれたクリスチャンの中には,聖書の真理を学ぶ前,戦いに参加していた人や,軍隊に入っていた人さえいます。その後,エホバの証人になって平和を大切にするようになり,戦うことをやめました。(ガラ 5:22。テサ二 3:16)とはいえ,天に復活した後は,キリストや天使たちと一緒に最後の戦いに加わり,神の敵たちを滅ぼすのです。
16 地上に残っている選ばれたクリスチャンの中には,高齢で体の弱い人たちもいるかもしれません。でも天に復活した後は不滅の命を与えられ,イエス・キリストと一緒に力強く戦います。そして,ハルマゲドンの戦いの後は愛する兄弟姉妹が完全になるように助けます。天に復活した人たちは,不完全な人間だった頃にはできなかった素晴らしいことをたくさん行うことができます。
17. 神に仕える人たちがハルマゲドンの時に安全に守られると確信できるのはどうしてですか。
17 あなたはほかの羊ですか。もしそうなら,ハルマゲドンの戦いが始まる時,どんなことをする必要があるでしょうか。エホバに頼り,エホバからの指示に従うことです。聖書にはこうあります。「奥の部屋に入り,扉を閉めなさい。少しの間,隠れていなさい。憤りが過ぎ去るまで」。(イザ 26:20)神に仕える人たちは天にいるか地球にいるかに関わりなく,安全に守られます。パウロが言っている通り,「政府も,今あるものも,これから来るものも,……神の愛から私たちを引き離すことはできません」。(ロマ 8:38,39)忘れないでください。エホバはあなたを愛しています。エホバがあなたを見捨てることは決してないのです。