世界展望
日本人の体位は向上
◆ 文部省の統計によると,日本の子どもの体位はしだいに向上していることが明らかになった。幼稚園の園児から大学生まで34万人を対象にして行なわれた最近の調査は,めざましい向上ぶりを示している。今の12歳の男子は1962年当時の同じ年齢の男子に比べ,身長が約6㌢,体重が4.5㌔,胸囲が2.5㌢多い。同じ年齢の女子には,身長は5㌢,体重は3.5㌔,胸囲は約3.5㌢ふえている。こうした体位の向上は,1945年の終戦以来食生活が変化したことによると考えられている。
環境に対する平衡の取れた見方
◆ 最近,アメリカのコロンビア大学の生態学準教授,D.エーレンフェルトは「地上の生物を保存する」と題する本を出版した。その中で著者は,人間が陥っている生態学的災やくの原因は「西洋のキリスト教の台頭」と,「進歩」に対する同キリスト教のあやまった考え方であるとしている。しかしながら,彼は次のように指摘している。「現代のユダヤ人に類するクリスチャンの宗教団体の中で,環境との関連において平衡の取れた,人間観を明確に系統立てて説いている団体は,エホバの証人以外にはほとんどないようである。(「目ざめよ!」誌1971年10月8日号参照)」。
汚染が続くのはなぜか
◆ 人間は発展と汚染を抑制しないかぎり,滅びざるをえないとする最近の「ローマ・クラブの報告」に対する反響は全く好意的なものではなかった。それはなぜか。サイエンス・ワールド誌は次のように述べている。「人も会社も国も,たいていはいっそう富み,またいっそう強力になりたいと考えている。われわれはみな,車やテレビ,レコードや本,食物その他,さらに多くのものを欲している。世界の指導者たちは汚染および自然に対する需要の増大を憂慮しているが,同時にいっそうの経済成長を求めている。なぜか。なぜなら,それこそ人びとが欲していることだからである。これまで常に欲してきたものを欲することをやめるようにと言われるのをだれも好まないのである」。
3人にひとりは強盗に襲われている
◆ 昨年12月初旬に行なわれたギャラップ世論調査によれば,アメリカの人口の稠密な都市の住民は,昨年3人にひとりの割合で,背後から襲われたり,強奪されたり,財産の損害をこうむったりした。郊外ではその割合が5人にひとりであった。また,10人中4人は,夜間ひとりで近所を歩くのを恐れていた。今や6人にひとりは,夜自分の家にいても安心できないと述べている。同調査の数字は,1,500人を越す成人との面接に基づいたものであった。今や,犯罪は人口50万以上の都市の住民の大きな心配の種であると考えられている。
カトリック教徒は教会の教えを拒否
◆ 最近,「サイエンス」誌に載ったある報告は,インタビューを受けた1,000人を上回るアメリカのカトリック教徒の女性のうち68%が教会の禁じている避妊法を用いていることを明らかにしている。同調査の執筆者であるC.ウェスソッフおよびL.バンパス両博士はこう語っている。「アメリカのカトリック教徒が産児調節に関する,1968年の教皇回勅の声明を拒否してきたこと,また,カトリック教徒の女性の大半がとっている行動…と教会自身の公式の立場には大きな隔たりがあることは,多くの証拠から明らかに思われる」。アメリカの首都ワシントンのモンシニョール.J.T.マックヒュー,は同報告について,「大体において,非常に正確である」と述べている。カナダ,トロントの大司教の依頼によって行なわれた別の調査は,トロント・スター紙によると,「『驚くべき』数のローマ・カトリック教徒は…教会が現代生活の道徳的,社会的風潮を決めるのを不適当であると見なしている」ことを明らかにしている。同報告によると,多くの人にとって,「その宗教は造花のようなもので,彼らは,それを美しいが生命のないものであると考えている」。インタビューされた司祭たちは異口同音に,教会員は財政的に十分教会を支持していないことを認めた。
「神を確信した」宇宙飛行士
◆ 近年のアポロ宇宙飛行を通し,飛行士たちは地球や宇宙について興味深いことばを語った。C.M.デュークは,「地球は陸地と海と雲が豊かな色彩に富んでいて,宇宙空間の中で最も美しい」と語った。E.A.サーナン宇宙飛行士は次のように述べている。「地球は大きく美しく見える…地球はほんとうに完壁のものに見える。地球をつるす綱や,地球を乗せたてこ台というものはない。…わたしは宇宙空間に見られる秩序から,神を確信している。そして,わたしにはそれが偶然に起きたのではないことがわかる」。
地震による死亡者
◆ 1950年以降,地震による死亡者は世界中で約13万人と推定されている。最近ニカラグアで起きた地震は,政府筋によると,1万人から1万2,000人の命を奪ったと見られている。それはリヒター地震計でマグニチュード6.2だったが,過去においてはもっと大きな地震が記録されている。チリ地震はリヒター地震計でマグニチュード9から9.2に達した。マグニチュード8.2と測定された,1906年のサンフランシスコの地震は,ニカラグアのマナグア市を壊滅させた地震の100倍の威力を持っていたと推定されている。そしてサンフランシスコではまた地震が起こると恐れられている。アメリカ,カリフォルニア大学の地震観測所の所長B・A・ボルトによれば,カリフォルニアにある,約430㌔にわたる水晶岩地域は「時計のぜんまいのように」緊張しており,「いつかそれがはじけて,地すべりを起こし,地面とその上にあるものすべてを1㍍近く前に押出すであろうということである」。
めまぐるしく変わる地図
◆ 今日,多くの国家や民族の間で領土をめぐる紛争があるため,地図製作者たちは困っている。国境や国名があまりにもめまぐるしく変わるので,それらを新しい地図に載せることができないのだ。バングラデシュの成立や,インドとパキスタン間,およびホンジュラスとニカラグア間の問題,さらに他のラテンアメリカ諸国の紛争など,地図をすぐに古くするような情況はかなり多い。セイロンは旧称であるスリランカを採用し,カンボジアはクメール共和国と改名した。一般の人びとが地図の上でそれを見るまでにはしばらくかかるにちがいない。
ボーイスカウトと銃砲類
◆ アメリカのボーイスカウトの月刊誌,「ボーイズ・ライフ」に載っている広告の10%は銃砲類や弾薬の宣伝である。クリスマスシーズンになるとその割合はずっと多くなる。なぜなら,アソシエイト・パブリシャーのエドワード・L・ケルンによれば,ライフル銃が「その季節に非常によく売れる商品」であるからだ。同誌の12月号には,26種類の銃砲の写真が載っていたが,いずれも引き金を引くことを美化したものであった。若者たちには,家の人にライフルを買ってもらいなさいと宣伝されている。父親も宣伝の対象になっていて,ある広告には,「あなたが22歳になった時のことを覚えていますか。今年のクリスマスはお子さんを喜ばせてあげてください」とある。さらに,指ではじくとパッと飛び出すナイフや,「ほんとうに撃てる」10㌔以上もの,海軍で使っている大砲の模型,また小さな高圧の空包を打つ小型ピストルの広告が載っていた。27ページある広告ページのうち8ページはもっぱら,人を殺しうる銃砲類や弾薬の宣伝に使われていた。「銃砲類が現に存在している」以上,ライフルを手にする少年が「銃口がどちらに向いているか」ぐらいわからないと困るので,銃についての訓練と安全教育は大切であると,ボーイスカウトの関係者は主張している。
自動車の排気ガス制御装置は失敗
◆ アメリカでも大気汚染の最もひどいふたつの州では試験的に,排気ガスを制御する装置を自動車に取り付けることが行なわれてきた。しかし,その結果は,そうした装置の多くは汚染を制御できないことを示した。ニュージャージー州では,1970年の車の30%,および1971年の車の25%が同州の穏やかな規準に合わなかった。規準がもっと厳しいカリフォルニア州では1970年型および1971年型車の41%が失格した。事実,ニュージャージー州で検査された自動車全体の30%は失格車だった。最新型の車についている,排気ガス制御装置はデリケートで調子がくるいやすい。技士の多くがそれらを正しく整備したり取り付けたりする方法を知らないことも,問題をいっそう悪化させている。カリフォルニア州では,1955年から1965年までの車に取り付けられた排気ガス制御装置の50%以上は正しく取り付けられていなかった。
ヨルダン川の汚染
◆ 環境問題にかんするイスラエル国会の委員会の議長ヨセフ・タミール氏によれば,ヨルダン川は“下水道”と化しつつある。ガリラヤ湖の下流では,川がごみや農薬でいっぱいであるために,川の水は飲料水として使えない。同氏は,イスラエルの川はみな汚染しており,ヨルダン川を守るためには今「思いきった処置」が取られねばならないと言明した。
制限される招待客の数
◆ インドのニューデリーの警察は,大ぜいの客を招いてたくさんのごちそうをする人を逮捕する権限を持っている。「招待客制限令」が許している客の数は25人まで,料理は4品までである。結婚式と葬式は例外とされている。その場合には100人まで許可されている。許されている4品の料理は,肉料理1品,野菜料理1品,そしてご飯とデザートに限られてしまう。この命令は4年以上も前から実施されていたのであるが,最近それが厳しくなっている。なぜなら,それは飢きんを予想して食糧を保存するために行なわれているからである。
宣伝費
◆ 国際宣伝協会と国際調査協会の報告によれば,1970年に世界中で330億㌦(約7兆8,000億円)が宣伝費として使われた。そのうちの80%余は,アメリカ,西ドイツ,英国,カナダおよびフランスで使われたものである。アメリカだけで200億㌦(約5兆4,000億円)近くも宣伝費に費やされた。
はやぶさを絶滅から救う
◆ はやぶさを絶滅から救う企ての一環として,世界中で特別な増計画が実施され殖ている。はやぶさは,かつてはアメリカでも最も数の多い猛禽の一種であったが,今ではほとんど姿を消してしまった。アメリカ本土の48州にわずか150ないし200つがいほどが残っているにすぎない。他の土地でも同様に絶滅の危機にひんしている。はやぶさが絶滅状態に追いやられた原因としては,DDTの広範な使用や,やたらに撃ちたがるハンターがあげられている。はやぶさは,小さな鳥の数を制御するのに貴重な働きをする鳥である。
クラシック音楽の衰退
◆ 最近の統計は「クラシック音楽を好むアメリカ人が非常に少ないことを示している。昨年,米国は1,500万人がオーケストラの演奏を聞きに行ったが,これは,映画「ゴッドファーザー」を封切後9か月間に見た人の半数,またオートレースに行った人の数の約3分の1に当たる。クラシック・レコードは,アメリカのレコードの全販売量の約4%を占めているにすぎない。レコードが百万枚以上売れた記念に,その吹き込み者に与えられた「金のレコード」1,131枚のうち,クラシックの音楽家に与えられたのはわずか1枚だけだった。アメリカ・レコード産業協会のヘンリー・ブリーフは,「それはクラシックだと言おうものなら,たちまち相当数の人びとをおどして追い払うことになる」と語った。