17-18. エホバはどういう意味で「ただひとり知恵のある」方ですか。エホバの知恵について考えると,畏敬の気持ちでいっぱいになるのはどうしてですか。
17 こうした証拠からして,エホバが最高の知恵を持っていることに疑問の余地はありません。聖書によれば,エホバは「ただひとり知恵のある」方です。(ローマ 16:27)つまり,エホバだけが完全な知恵を持っています。本当の知恵は全て,エホバから与えられるものです。(格言 2:6)それでイエスは,エホバに次いで賢い方であるにもかかわらず,自分の知恵に頼るのではなく,父エホバから教えられた通りに話しました。(ヨハネ 12:48-50)
18 誰とも比べものにならないエホバの知恵について,使徒パウロはこう書きました。「ああ,神の祝福は何と豊かで,神の知恵と知識は何と深いのでしょう。神の裁きを知り抜くことも,神の道を知り尽くすことも決してできません」。(ローマ 11:33)「ああ」という感嘆の言葉から,パウロの深い畏敬の気持ちが伝わってきます。パウロが選んだ「深い」という意味のギリシャ語は,「底知れぬ深み」と訳されている言葉と関連があります。それで,神の知恵の深さをよくイメージできます。エホバの知恵は,あたかも底なしの谷のように深くて広大です。私たちには,その全体を把握することなど到底できません。(詩編 92:5)圧倒されるようなスケールの大きさです。
19-20. (ア)ワシが神の知恵の象徴にふさわしいのはどうしてですか。(イ)エホバが将来を見通すことができるという,どんな証拠がありますか。
19 エホバが「ただひとり知恵のある」方だと言える別の理由は,エホバだけが将来に何が起きるかを知ることができるからです。遠目が利くワシが,神の知恵の象徴であることを思い起こしてください。イヌワシは体重が5㌔ほどですが,人間の大人よりも大きな目を持っています。とても視力がいいので,空高く飛びながら1㌔以上先にいる小さな獲物を見つけることができます。エホバはワシについて,「目ではるか遠くまで見通す」と言いました。(ヨブ 39:29)エホバも,はるか遠い先の将来まで見通すことができます。
20 その証拠として,聖書には何百もの預言が書かれています。戦争の結末,世界の強国の出現や滅び,また軍司令官の具体的な戦術までもが,聖書の中で予告されていました。実際に起きる何百年も前に予告されていたものもあります。(イザヤ 44:25–45:4。ダニエル 8:2-8,20-22)
21-22. (ア)あなたが人生で行う決定をエホバが全て予知していると考えるべきでないのはどうしてですか。どんな例えで説明できますか。(イ)エホバの知恵は冷たくて思いやりのないものではないとどうして分かりますか。
21 では神は,あなたが人生で行う決定を全て予知しているのでしょうか。そうだと主張し,人の運命はあらかじめ決まっていると信じている人たちもいます。しかし,そのような考え方をするなら,エホバの知恵を軽く見ていることになります。エホバは将来を見通す能力をコントロールできない,と言っていることになるからです。例えで考えてみましょう。もしあなたが誰よりも美しい声で歌えるとしても,だからといっていつも歌っていなければならないでしょうか。そんなことはありません。同じように,エホバは将来を予知することができますが,いつもそうするわけではありません。もし私たちの行動を全て予知するなら,私たちが物事を自由に決められなくなってしまうことになりかねないからです。自由意志という貴重な贈り物を与えてくれたエホバは,それを私たちから奪ったりはしません。(申命記 30:19,20)
22 さらに,人が悪い目に遭うこともあらかじめ決まっているとすれば,エホバの知恵は冷たくて思いやりのかけらもないものだということになります。でも,それは真実から懸け離れています。聖書によると,エホバは「心が賢[い]」方です。(ヨブ 9:4)エホバの心は愛に満ちています。ですからエホバの知恵は,力や公正などと同じように,愛に基づいて表されるものです。(ヨハネ第一 4:8)
23. エホバの知恵の素晴らしさを考えると,どうしたいと思いますか。
23 最高の知恵を持つエホバを,私たちは完全に信頼できます。神の知恵は人間の知恵よりはるかに優れているので,聖書は私たちにこう勧めています。「心を尽くしてエホバに頼れ。自分の考えに頼ってはならない。どんな道を行く時にも神のことを考えよ。そうすれば神が真っすぐに進ませてくださる」。(格言 3:5,6)では,エホバの知恵を深く調べて,全知全能の神との絆を強めましょう。