愛と大胆は生命へ導く
1 イエスの弟子はどのようにイエスの戒めを守りますか。
イエス・キリストが神のみ子であり,「わたしたちを救いうる名は,これを別にしては,天下のだれにも与えられていない」ことを信ずる人は,イエスと使徒たちの言葉を信じなければなりません。イエスは言われました,「もしあなたがたがわたしを愛するならば,わたしのいましめを守るべきである」。(ヨハネ 14:15,新口)当然の結論として,「わたしのいましめを心にいだいてこれを守る者は,わたしを愛する者である。わたしを愛する者は,わたしの父に愛されるであろう」ともイエスは言われました。(ヨハネ 14:21,新口)それでイエスのいましめを守る弟子は愛を示すことになります。しかしイエスのいましめには何が含まれていますか。ひとつにはイエスは次の事を言われました,「それゆえに,あなたがたは行って,すべての国民を弟子として,父と子と聖霊との名によって,彼らにバプテスマを施し,あなたがたに命じておいたいっさいのことを守るように教えよ」。(マタイ 28:19,20,新口)イエスの弟子となるように人々を納得させるため,イエスの追随者は語り,伝道し,説得しなければなりません。
2 (イ)私たちの仕事は伝道して人々を弟子にするだけですか。福音伝道に関して一宗教人の提出したどんな鋭い質問が,タイム誌に報ぜられていますか。(ロ)クリスチャンと唱える人について,更にどんなことが尋ねられますか。
2 それは弟子にするだけのことではありません。イエスのいましめは,新しい弟子を教え,イエスの命じたすべての事をどのように守るかを示すことです。旅行し,伝道し,教えるすなわち真理を他の人の心に植えつけることは,どのクリスチャンにとっても大きな仕事です。あなたはそれを試みましたか。あなたの属する「教会」は,このすべての事をすゝめていますか。それともあなたの宗教はどちらかと言えば,1963年10月25日号タイム誌の86頁,宗教欄に述べられているものに似ていますか。その記事は次のとおりです。「〔キリストの弟子教会の〕会長ロバート・バーンズ博士は,福音伝道の上に築かれる信仰の火が消えつゝあることを警告した。『我々の多くが隣人の魂の救いに深い関心を持たないため,福音伝道は停滞してしまった。教会に信者を加えるための器として,あなたがこの前用いられたのは何時であったか。あなたがこの前そのことを試みたのは何時であったか』」。これはクリスチャンとなるすべての人が考えてみると良い質問です。キリスト教国の宗教組織に属するすべての人が自分を吟味しなければなりません。なぜですか。クリスチャンであるならば,あなたは「行って」「弟子として」「バプテスマを施し」「教え」ますか。真のキリスト教を伝道し,また教えないならば,クリスチャンであることを示すどんな証拠がありますか。クリスチャンの活動たとえば神の国の福音伝道を始めるように他の人の説得にこの前努めたのは何時ですか。あるいは人が正しい原則にのっとって固い立場をとるように,神のことば聖書に従いなさいと,すゝめたことがありますか。しかし次のように答える人がいます,「私の品行方正な生活は,私がクリスチャンである証拠だ。口でキリスト教を説くには及ばない」。
3 (イ)「あなたがたに命じておいたいっさいのことを守るように」という言葉には,どんな多くの事が含まれていますか。(ロ)イエスは悪い行いのはじまりがどこにあることを示されましたか。
3 たしかに「あなたがたに命じておいたいっさいのこと」の中には,道徳の面における神の教えが含まれています。性道徳に関するキリストの教えを無視したこの世の精神にならっていますか。教会員の間に姦淫,不品行,男色があっても目をつむっていますか。クリスチャンであるパウロはそうしませんでした。パウロは述べています,「盗むなと人に説いて,自らは盗むのか。姦淫するなと言って,自らは姦淫するのか」。当時の男女の「恥ずべき情欲」を指摘してのち,「彼らは,こうした事を行う者どもが死に値するという神の定めをよく知りながら……」と,パウロは述べました。(ロマ 2:21,22; 1:24-32,新口)不道徳な行いにふけるのは生命を得る道ではありません。品行および悪い習慣についてイエスの語られたことを,パウロは信じていました。「すなわち内部から,人の心の中から,悪い思いが出て来る。不品行,盗み,殺人,姦淫,貪欲,邪悪,欺き,好色,妬み,誹り,高慢,愚痴。これらの悪はすべて内部から出てきて,人をけがすのである」― マルコ 7:21-23,新口。
4,5 (イ)イエスは何に反対でしたか。それでクリスチャンはどのように自問すべきですか。(ロ)ヨハネ伝 12章48-50節にあるイエスの言葉を,1963年10月25日号タイム誌に出た論評と対照させなさい。
4 イエスの弟子が食べる前に手を洗わないのを見て文句を言った学者,パリサイ人に対して,イエスはきわめて率直に答えられています。文字に書かれた神のことばをひき,権威をもってイエスはお答えになりました。「イザヤは,あなたがた偽善者について,こう書いているが,それは適切な預言である,『この民は,口さきではわたしを敬うが,その心はわたしから遠く離れている』」。どんな人間であるかは,その人の心によって決まります。人は心にあることを口に出すからです。パリサイ人のような人は真に大切なものを見失っており,神とイエスの戒めを守っていません。(マルコ 7:6,新口)イエスは真理を伝道し,あらゆる偽善の行いに反対でした。いわゆるキリスト教の社会の品行という問題で,あなたはどんな立場をとっていますか。ご自分の立場を表明しますか。それともあいまいな態度をとっていますか。隣人を愛し,また徳義についてイエスの言われた事柄を積極的に実行し擁護する勇気がありますか。「わたし〔イエス〕を捨てて,わたしの言葉を受けいれない人には,その人をさばくものがある」と言われたイエスの言葉に同意しますか。イエスは言われました,「わたしの語ったその言葉が,終りの日にその人をさばくであろう。わたしは自分から語ったのではなく,わたしをつかわされた父ご自身が,わたしの言うべきこと,語るべきことをお命じになったのである。わたしは,この命令が永遠の命であることを知っている。それゆえに,わたしが語っていることは,わたしの父がわたしに仰せになったことを,そのまま語っているのである」。(ヨハネ 12:48-50,新口)考えてごらんなさい。あなたがイエスの言葉を読み,十分に理解したのは何時のことですか。
5 クリスチャンは自分勝手な結論を出して,どう生きるべきかを自分で決めることはできません。それは明らかです。クリスチャンは神のことばにしるされた事を考慮しなければなりません。イエスを愛する人はイエス・キリストの戒めを守ります。現代の教会員の語った次のような言葉は,クリスチャンの耳に奇妙に聞こえるではありませんか。「だれもが同意しなければならないような神学の一体系を打ち出すのは,我々がはじめから非常に恐れてきたことである」と,アーウイン・ミラー氏は語りました。同氏は実業家で平信徒ですが,キリスト教会全国協議会の会長をつとめている人です。「この運動の中心をなすものは,各人が独自の見解を持つ自由を守ろうという気運なのだ」。(1963年10月25日号タイム誌,86頁)この団体に加盟する教会の人々は,イエスと神の見解に同意しなくてもよいというのですか。
6 いわゆるキリスト教の団体が今日たくさんあるのはなぜですか。
6 キリスト・イエスの12使徒はキリストの教えを宣べたとき,12の異なる見解を抱くことをせず,またそのような事を欲しませんでした。もつべき見解はたゞひとつ,すなわち真理です。いわゆるキリスト教といっても,世界中に1000以上の異なる宗派があるのはなぜですか。それは神とイエスの教えを無視して,自分の考えを教えているからです。信仰は一つ,バプテマスは一つ,主なる救い主イエス・キリストは一つではありませんか。では簡素なキリスト教に戻り,真実に互を愛して神を理解することが肝心です。真理ではなくて自分の考えに固執する人が多過ぎます。多くの異なった宗派の内部においてさえ,人は自分を愛するように隣人を愛していません。「わたしがあなたがたを愛したように,あなたがたも互に愛し合いなさい」と,イエスは言われたではありませんか。そうです,すべての真のクリスチャンはエホバ神とみ子キリスト・イエスに対して愛を表わさなければなりません。今日すべての人が真理を学び知るように聖書を説明し,愛を示して他の人々を援助するには大胆さが必要です。
パウロの示した大胆さの手本
7 (イ)パウロはどんな人でしたか。(ロ)ユダヤ人はパウロに対してどんな態度をとりましたか。それでパウロは彼らに何と答えましたか。
7 使徒パウロはそのような大胆さを持ち,兄弟たちに仕えて愛を示しました。まずパウロは伝道することを恐れませんでした。パウロは「エルサレムに出入りし,主の名によって大胆に語り,ギリシャ語を使うユダヤ人たちとしばしば語り合い,また論じ合った。しかし,彼らは彼を殺そうとねらっていた」と聖書に記録されています。(使行 9:28,29,新口)クリスチャンととなえるあなたは,外に出て信仰を他の人と論じ合いますか。イエスはそうしました。使徒たちも初期クリスチャンもそうしたのです。アンテオケにいた時のパウロもそうしました。パウロは神のことばが約束のメシヤすなわちキリスト・イエスを指し示していることを理解させて,イスラエルの「失われた羊」を助けたいと望みました。ピシデヤのアンテオケでパウロは安息日になると会堂に行き,集まった人々にエホバの言葉を聞かせました。ところが群衆に目を留めたユダヤ人はねたみに満たされ,パウロの語ることに口ぎたなく反対し始めました。「パウロとバルナバとは大胆に語った,『神の言は,まず,あなたがたに語り伝えられなければならなかった。しかし,あなたがたはそれを退け,自分自身を永遠の命にふさわしからぬ者にしてしまったから,さあ,わたしたちはこれから方向をかえて,異邦人たちの方に行くのだ。主〔エホバ〕はわたしたちに,こう命じておられる,『わたしは,あなたを立てて異邦人の光とした。あなたが地の果までも救をもたらすためである』。異邦人たちはこれを聞いてよろこび,主〔エホバ〕の御言をほめたたえてやまなかった。そして,永遠の命にあずかるように定められていた者は,みな信じた。こうして,主〔エホバ〕の御言はこの地方全体にひろまって行った」。(使行 13:44-49,新口)当時パウロの語った言葉は聖書となって,私たちの先祖の多くに伝わりました。しかしそれはあなたに伝えられましたか。それともあなたは家代々の宗教をなんとなく受け入れていますか。あなたはキリスト・イエスの追随者となることを自分で決めましたか。そうであれば,パウロと同じく忍耐し,クリスチャンの道を歩みつゞけることができますか。
8 パウロはイコニオムでどのように大胆に行動しましたか。そのことから各人はどんな時宜を得た質問に答えねばなりませんか。
8 パウロが神のことばを伝道したというだけの理由で,町の人々はパウロとバルナバに対して迫害を加え,二人を町の外に追い出しました。二人はどうしましたか。「ふたりは,彼らに向けて足のちりを払い落して,イコニオムへ行った」。(使行 13:51,新口)パウロはイコニオムの会堂でユダヤ人に大胆に語り,エホバ神と御子キリスト・イエスに対する愛を表わしました。こうしてパウロはクリスチャンであることを証明しました。パウロはイエスを愛し,イエスの戒めを守りました。それで「すべての国民を弟子とし」,イエスが追随者に命じたすべての事を守るように教えたのです。あなたはどんな方法で伝道しますか。教えることをしていますか。手かげんした標準ではなく,真のクリスチャンの道徳の標準を守りますか。キリストの教えとその道は今でも正しいのです。あなたはそれを行なっていますか。
9 クリスチャンとして妥協せず,固い立場をとる人は何を期待できますか。
9 キリスト教国の人々すべてがクリスチャンであると考えてはなりません。キリストを愛さず,キリストの戒めを守らない人がクリスチャンであるはずはありません。ありのまゝの事実を考えてごらんなさい。キリスト教国の数多い宗派に属する人すべてが,クリスチャンにふさわしい行動をしていますか。たしかに信心はしていますが,キリスト・イエスの足跡に従っているかといえばそうではありません。人々がそうしていれば,世の中は異なっていることでしょう。キリスト教国の宗教指導者はパウロ時代のユダヤ人の宗教指導者と同じで,キリストに従おうとしません。固く立って正義を行ない,妥協せず,神の国とキリスト・イエスに対する信仰を言い表わしてごらんなさい。パウロがイコニオムで受けたと同様な仕打ちを受けても不思議ではありません。「その時,異邦人やユダヤ人が役人たちと一緒になって反対運動を起し,使徒たちをはずかしめ,石で打とうとした」。この事を知ったパウロとバルナバは町から逃れました。―使行 14:5-7,新口。
10 真実にキリストの弟子になることを望む人々に対して,パウロはどのように関心を示しましたか。
10 別の時にパウロはエペソの会堂で語り,「三か月のあいだ,大胆に神の国について論じ,また勧めをし」ました。ある人たちが「会衆の前でこの道をあしざまに言ったので,彼は弟子たちを引き連れて,その人たちから離れ,ツラノの講堂で毎日論じ」ました。(使行 19:8,9,新口)パウロは真実にクリスチャンの宣教者であり,方々に行って伝道しました。また兄弟に愛を示し,永遠の生命に至る道をあらゆる種類の人に大胆に教えました。真のクリスチャンとなるには,同じことをしなければなりません。
今日でも大胆
11 永遠の生命を獲得するためにいま努力しているのはだれですか。彼らはどのようにその事をしていますか。
11 だれでも永遠の生命を獲得するには,イエス・キリストをはじめ,ペテロ,ヨハネ,パウロその他の使徒たち,またキリストの弟子のしたと同じことをしなければなりません。これらの人々は神の国の福音を大胆に伝道しました。現代のエホバの証者は,「すべての民に対してあかしをするために」行なわれるとイエスの言われたわざをするために力をつくしています。(マタイ 24:14,新口)1964年度エホバの証者の年鑑にしるされている通りにエホバの証者は反対にあいますが,それでも大胆に前進の歩を進めます。彼らは「永遠の福音」を全地に何度でも宣べ伝えなければなりません。それは神のみ心です。(152-155頁の表をごらん下さい)
12 1963年のあいだエホバの証者はどの程度まで大胆に語りましたか。これはキリスト教国の牧師の方法とどう違いますか。
12 1963年を振り返ってみるとき,エホバの証者の喜びは大きなものであったことがわかります。104万836人の伝道者が194の国々で神の国の音信を大胆に宣べ伝えたからです。これらのクリスチャンは2万2761に上るエホバの証者の会衆と交わっています。これらの男女は神のことばを教えることを心から喜んでいます。それで個別訪問し,聖書研究を司会し,演壇から語るのに1億5125万1242時間をついやしました。またキリストの音信に関心を示し,神のお約束を更に知りたいという人々に,5199万4915回の再訪問をしました。このような訪問を受けた何百万の人々がエホバの証者の御国会館に行ったのではなく,100万人に上る御国伝道者が人々の家を訪れたのです。キリスト教国の方法とはだいぶ異なっていますが,それはイエスと使徒の始めた方法です。
13,14 エホバの証者は彼らに関するかぎり聖書の勉強はおとろえていないことを,どの程度まで示しましたか。監督奉仕者のほかにだれがこのわざに参加しましたか。
13 聖書を勉強することは余り行なわれなくなったと言われます。しかしエホバの証者の場合にはそうではありません。昨奉仕年度中,エホバの証者は70万2470の家庭聖書研究を司会しました。聖書研究を司会するため,これらのクリスチャンが人々の家を訪れる往復の時間だけでも,どれほどになるか考えてごらんなさい。それは愛の表われではありませんか。1963年中に牧師はあなたの家に何回来ましたか。
14 家庭聖書研究を司会したのは,エホバの証者の会衆を監督する奉仕者だけではありません。会衆を構成する人々がこのわざをしました。すべてのエホバの証者は任命された奉仕者です。使徒時代においても,献身してバプテスマを受けた男女は,『行って,すべての国民を弟子とする』ことを命ぜられていました。今日においてもクリスチャンのなすべきことは変りません。聖書も,その中にしるされた戒めも変ってはいません。クリスチャンの宗教がどんなものであるべきかについて,人々の考えが変っただけです。あなたもイエスの教えられたキリスト教を実践してはいかゞですか。
15 過ぐる年のあいだエホバの証者は他にどんな宣教活動をしましたか。
15 人々の家で行なわれた70万2470の家庭聖書研究に加えて,エホバのクリスチャン証者は84万3205に上る公開集会を開きました。公開集会は御国会館でたいてい日曜日に開かれます。ほかに毎週開かれる集会として神権宣教学校があり,エホバの証者はこの聖書の学校で上手に話すための訓練を受けます。また毎週行なわれる奉仕会においては,家から家の宣教に上達する方法を学びます。また「ものみの塔」誌の研究,会衆の書籍研究が毎週行なわれます。このすべては聖書を学ぶための集まりです。エホバの証者は更によい奉仕者となるための準備を怠りません。
16 自分の考えを持つことを,エホバの証者はどう感じますか。なぜですか。
16 エホバの証者についてとくに言えるのは,同じ内容の信仰を持ち,イエスの伝道したと同じ事柄を伝道していることです。エホバの証者は自分自身の考えを持つことをすゝめません。エホバの証者を教えるものは神のことばです。永遠の生命に至る道を自分で決めることのできる人が,はたしていますか。人間には導きが必要であり,その導きとなるのは文字に書かれた神のことばです。イエスは言われました,「わたしは道であり,真理であり,命である。だれでもわたしによらないでは,父のみもとに行くことはできない」。(ヨハネ 14:6,新口)イエスの教えられた真理はどこにありますか。それは聖書に書かれています。他の人と共に聖書を学んで下さい。
17 キリストの追随者になることを望む人がまだ大ぜいいることは,何から見て明らかですか。
17 すべての国民の中から更に大ぜいの人を弟子にしなければなりません。そしてキリスト・イエスの戒めを学ぶとき,人々はエホバに奉仕するために献身し,水に全くひたされるバプテスマを受けることでしょう。1963年のあいだエホバの証者はあらゆる国民,あらゆる民族,言語の人々6万2798人にバプテスマを施しました。そしてバプテスマを施しただけでなく,イエスのお命じになったすべての事を守るように教えたのです。この人々もまたクリスチャン奉仕者となりました。
18 聖書の話をのせた印刷物は神のお約束を理解するうえに大きな価値があるため,エホバの証者は1963年のあいだどれだけ印刷物を配布しましたか。
18 人々を援助するため,エホバの証者は伝道しながら聖書の手引をたくさん人々に配布します。これらの手引は162ヵ国で出版されており,1963年のあいだ422万1772冊の聖書と本,1480万5483冊の冊子が配布されました。信仰を強く保つための最善の方法の一つは,聖書とすぐれた聖書の手引を何時も読むことです。全世界のエホバの証者をはじめ,他に何百万の人が「ものみの塔」と「目ざめよ!」誌を読みます。エホバの証者は143万3542に上る「ものみの塔」と「目ざめよ!」の新しい予約を得ました。「ものみの塔」は66ヵ国語,「目ざめよ!」は25ヵ国で印刷されています。また1億1684万5928冊に上るこれらの二つの雑誌が配布されました。聖書の話を載せたこれらの印刷物は,エホバの証者にとって大きな助けです。人々の家で語ることにすべての時間をついやすことはできません。そこで良いたよりの伝道者が再び訪問するまで,読んでおくことのできるように人々に文書を配布するのです。
19 ものみの塔協会の印刷工場は,どのように聖書文書の需要をみたしましたか。
19 ものみの塔協会は印刷工場を所有しており,聖書,本,冊子,パンフレット,雑誌を印刷しています。聖書文書の需要に応ずるため,エホバの証者の奉仕者はすべて自発奉仕者の手によって67万2239冊の聖書と本,2605万7581冊の冊子,1億376万3470冊の「ものみの塔」および9510万307冊の「目ざめよ!」を生産しました。また4億8711万6545枚のビラ,パンフレット,手紙その他の用紙が印刷されています。
20 今日エホバの証者はイエスや使徒たちの用いたと同じ方法で伝道しますが,今日ではどんな有利なものがありますか。なぜそれは有利ですか。
20 人々に語りかけるためエホバの証者が用いる方法は,キリスト・イエスとその弟子たちが用いたのと同じ方法です。イエスと弟子たちは家から家に行き,また公に伝道しました。今日エホバの証者も同じことをします。しかし今日エホバのクリスチャン証者は能率的に行なうため,印刷物を利用します。永遠の生命のことを聞いた記念として文書を渡すのではありません。聖書文書は自分で神のことばを学んで真理を知るための助けです。
21 会衆の伝道者,特別開拓者,正規開拓者としてエホバの証者の行なう宣教活動を述べなさい。
21 毎週5回,御国会館で開かれる集会に出席して討議に参加するほか,エホバの証者は家から家に伝道し,神の国の良い音信を教えるために毎月約10時間をさゝげます。そのことをご存知でしたか。費やす時間は人によってこれより多かったり少なかったりします。毎月,宣教に多くの時間を用いる特別の代表者が大ぜいいますが,7475人に上る特別開拓者は,たいてい会衆のない土地に行って家から家に伝道し,聖書研究を司会し,新しい会衆を組織するため毎月少なくとも150時間をついやします。また毎月,野外奉仕におよそ100時間をさゝげる開拓者が,3万1098人います。これらの開拓者はたいてい都市で働いていますが,他の人に割り当てられていない土地に行って伝道することもでき,協会の監督の下で宣教奉仕を行なっています。
22 協会が巡回および地域の僕を用いるのはなぜですか。
22 巡回の僕また地域の僕と呼ばれる協会の代表は,すべての開拓者と会衆を訪問し,組織の面における援助と聖書の助言を与えます。これらの僕は各会衆と共に1週間過して,いろいろな問題の解決を助けます。監督の務をはたすこれら巡回および地域の僕は,1983人います。
23 (イ)協会の支部事務所に働く人々は,神のことばを大胆にひろめるうえにどんな役割をはたしていますか。(ロ)1938年以来成しとげられたわざは,どのように表に示されていますか。
23 ものみの塔協会の支部事務所は全世界90の国にあって,巡回,地域の僕のわざを監督しています。支部事務所に附属した建物で協会がベテルと呼ぶ家に1461人の献身した神の奉仕者が生活しています。支部で働く人々はすべての開拓者と会衆の活動に大きな関心を払い,その管轄下に働く開拓者と会衆に対して一様な指図が毎月,支部から与えられます。これは考えと行動の一致を促進します。すべての指図は神のことばに基づいているからです。エホバの証者の行なうすべての活動は真理と正義の原則に一致しており,隣人に対して愛を示す結果となります。どこにいるエホバの証者も,神の国の福音を伝道すべき緊急の必要を感じています。このような組織によって,世界的に大きなわざが行なわれるのです。
5年おきに増加を示した表
年 伝道者数の平均 伝道者数の最高 時間 聖書研究 会衆 国
1938 47,143 59,047 10,572,086 ― 3,633 52
1943 109,794 126,329 28,726,524 66,493 6,310 54
1948 230,532 260,756 49,832,205 130,281 11,714 96
1953 468,106 519,982 72,344,728 281,219 14,163 143
1958 717,088 798,326 110,390,944 508,320 17,878 175
1963 956,648 1,040,836 151,251,242 702,470 22,761 194
24 (イ)1963年4月8日,どんな大きな集まりがありましたか。何人が集まりましたか。(ロ)油そそがれた残れる者およびそれ以外の大ぜいの人は,それぞれどんな希望を持っていますか。
24 年に一度エホバの証者の記念する日があります。それはキリストの死なれた日です。ユダヤ人の暦でニサンと呼ばれる日に,イエスはご自身を記念すべきことをお命じになりました。イエスの死の重大な意義を記念するためです。昨年ニサンの14日は,1963年4月8日の晩に始まりました。全世界の御国会館に合わせて169万3752人のエホバの証者と善意者が集まり,喜びを抱いてこの記念の行事をしました。その人々はキリスト・イエスが神のみ心に従い,彼らのために死なれたことを喜びとしたからです。天の栄光のうちにキリスト・イエスの共同相続者となるために聖霊で油そゝがれた人々すなわちキリストのからだの残れる者であることを表明した人は,1万2292人でした。この人々はキリストの花嫁となることを期待しています。その晩集まった中でそれ以外の人々は,新しい組織制度の下,この地上で永遠の生命を享けることを望んでいます。すでに死んだ人でも,正義を愛し,行いによってそのことを表わした人は,同じ報いを得るでしょう。その人々はキリストの千年統治のあいだ神の定めの時に復活を受けます。イエスは言われました,「記憶の墓にいる者がみな彼の声を聞いて出てくる時がくる。善を行なった者は生命に復活し,悪を行なった者はさばきに復活するであろう」。(ヨハネ 5:28,29,新世)それは何とすばらしい時になることでしょう! このような真理をいま人類に告げる人は,大きな愛を示すことになります。
25 神の国を祈り求めるほかに,人は神の国に対する信仰をどのように表わしますか。
25 エホバの証者は強い責任感に動かされて,キリスト・イエスの死と復活およびイエスのあがないの犠牲に関する良いたよりを伝道しつゞけます。エホバの証者は,神の国が人類の唯一の希望であることを信じています。それで御国の来ることを祈り求めるだけでなく,いま御国のために働くのです。「天にいますわれらの父よ,御名があがめられますように。御国がきますように。みこころが天に行われるとおり,地に行われますように」と述べた主の祈りを,熱心に祈ったことがありますか。(マタイ 6:9,10,新口)もしそうなら,いま真のクリスチャン奉仕者となって御国のために働いて下さい。
26 真理の言葉を大胆に語るには,だれに対して愛を表わさなければなりませんか。
26 エホバの証者は,「永遠の福音」を伝道するこのわざを成し遂げなければならないと感じていますが,この大きなわざをするにはあらゆる国民,民族と言語の人から成る隣人に真実の愛を持つことが必要です。しかしそのためにはまず天の父を愛さなければなりません。エホバの証者はまたキリスト・イエスを愛し,自分たちがキリストの弟子であることを知っています。彼らはエホバをはじめ御子キリスト・イエスを愛して,神のみ心を行ない,キリストの戒めを守っているゆえに,真実にエホバのクリスチャン証者です。真理に敵対する精神にみちた世でこの事をするには,たしかに愛と大胆さが必要です。しかしそれが生命と永遠の幸福に導くことは間違いありません。
27 (イ)エホバの証者のよいわざにも拘わらず,今日多くの宗教組織はエホバの証者をどのように見ますか。(ロ)生命を望むすべての人に対し,終りにエホバの証者は何をすすめますか。
27 エホバの証者は聖書の教えを伝道しています。それにも拘わらず,今日,世の宗教組織のあるものはエホバの証者を非クリスチャン呼ばわりしています。それはこれらの宗教組織がユダヤ人の祭司たちと同じくねたみに満たされているためです。エホバの証者はキリスト・イエスの足跡に従っており,偽りの宗教家はその事を知っているのです。イエスは言われました,「わたしは,新しいいましめをあなたがたに与える,互に愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように,あなたがたも互に愛し合いなさい。互に愛し合うならば,それによって,あなたがたがわたしの弟子であることを,すべての者が認めるであろう」。(ヨハネ 13:34,35,新口)エホバの証者はこの愛を持っています。そのことは1963年夏の世界一周大会においても再び証明されました。エホバ神の祝福と永遠の生命を得るために,エホバの証者はたとえ現在の悪の組織制度の中にあってもこの愛を持ちつゞけなければなりません。あなたも初期クリスチャンの愛と大胆さを持っているならば,大いなるバビロンすなわち偽りの宗教の世界帝国から離れ去り,エホバの証者と共にエホバ神に仕え,キリスト・イエスの戒めを守って,「永遠の福音」を伝道する喜びを得て下さい。
[152-155ページの図表]
全世界にわたるエホバの証人の1963奉仕年度報告
(製本した雑誌を参照)
[158ページの図版]
「エホバの証者はクリスチャンにあらず」,1963年7月,イタリア,ミラノ聖アンドレア教会にかかげられた看板。しかし事実はこの言葉と合わない。